『兵庫県大百科事典』所収、神戸新聞出版センター（1983年10月1日発行）
（神戸教会牧師５年、健作さん５０歳）
日本基督教団神戸教会
神戸市中央区花隈町９。西日本最古のプロテスタント教会。明治７年（1874）４月１９日創立。設立時の名称は＜摂津第一公会＞。明治１９年に日本組合教会の＜神戸基督教会＞、昭和１６年（1941）に＜日本基督教団神戸教会＞と改称。アメリカン•ボード（米国伝道会社）が日本伝道のため、明治２年、宣教師 D.C.グリーンを派遣した。O.H.ギューリック、J.D.ディヴィス、J.C.ベレー、J.E.ダッドレー、E.タルカットらと協力して宇治野村（神戸市中央区下山手通）に英語学校も設立し、明治７年本町５に１５０人が集まり、グリーンより前田泰一、鈴木清、松山高吉、小野俊二、佐治職、大田源造、北村元広、市川まつ、甲賀ふじ、小山りき、太田とら、計１１人が受洗し公会を設立した。ここを拠点に三田、兵庫、多聞、明石の公会及び山陽、四国の伝道が行われた。
明治時代は文明開化の担い手を生み出し、神戸女学院、神戸ＹＭＣＡ、頌栄保育学院などの教育事業、「七一雑報」・聖書・讃美歌などの出版活動、赤心社、神戸孤児院（神戸真生塾）などの社会活動の精神的基盤となった。大正時代は時代思潮と共に発展、会員は１０００人を超えた。昭和初期、現会堂を建設。戦後は復興と幼児教育、以後＜戦争責任告白＞を基とした宣教活動を行なっている。歴代牧師は初代 松山幸吉、２・５代 原田助、３代 本間重慶、４代 海老名弾正、６代 渡瀬常吉、７代 米沢尚三、８・１０代 鈴木浩二、９代 高橋健二、１１代 児玉浩次郎、現在 岩井健作。昭和５６年現在 会員数５６３人。→森田金蔵→村松吉太郎→小磯良平
（岩井健作）
高橋健二（たかはしけんじ）
明治３２年（1899）〜昭和２０年（1945）。群馬県沼田町に生まれる。牧師。同志社大学、シカゴ大学神学部卒業。仙台、大阪、尼崎の各組合教会を経て、昭和１６年に日本基督教団神戸教会牧師（第９代）に就任。＜今日教会は内外様々の批判と挑戦と重圧とが少なくありませんが…遅疑逡巡（ちぎしゅんじゅん）右顧左眄（うこさべん）してはなりません＞と太平洋戦争下、信徒の指導に専心する。教会堂が阪神防衛司令部として軍に接収されて後、同２０年６月５日の神戸大空襲により、中山手通仮会堂にて、家族とともに殉職する。
（岩井健作）
本城敬三（ほんじょうけいぞう）
明治２９年（1896）〜昭和５４年（1979）。社会教育家。飾磨（しかま）郡六角生まれ。昭和３２年まで４５年間神戸ＹＭＣＡに奉職。昭和２０年より総主事、戦後復興に尽力。日本基督教団神戸教会役員。県体育協会・社会福祉協議会理事、啓明女学院理事長・院長、神戸市立青葉寮寮長、神戸ライオンズクラブ・日米協会理事を歴任した。青少年、体育、民生、国際協力の分野に貢献、少年時代に訓育を受けた神戸教会第２代・第５代牧師 田中助・えい夫妻を終生の恩人と呼んだ。
（岩井健作）
執筆者座談会（笠原芳光、小林信雄、岩井健作）
