サンパウロ福音教会 ブラジル

 私たちにとって、ブラジルは意識の上でも距離の上でも遠い。そのブラジルに「一緒に行きませんか」と旅に誘われた。今年7月。「解放の神学」のルーツを訪ねるという友人の渡辺英俊牧師に。

 計画そのものはサンパウロ福音教会の、小井沼国光・真樹子両牧師。この教会を牧会して9年になるという。メンバーは主として戦後移民した日系一世の高齢者。もう80歳代前後の人たちだ。7月25日、この教会の日曜礼拝の説教をさせていただいた。もちろん日本語、ブラジルの中にある「日本の教会」だ。

 サンパウロは1822年ブラジル独立宣言の都市。南米最大で人口は1000万人を超える。原住民インディオやアフリカから連れてこられた「奴隷」の子孫、ポルトガル、スペイン、イタリア、ドイツ、日本からの移民等、多民族多文化の国だ。南米最大の重工業地だが、今は失業率20パーセントで、ファベイラ(スラム)の大きいことも有名。

 第二次大戦後、宗像基牧師が1957年にこの地で活動した時から数えると47年になる。教会はほぼ街の中心部にある。今、すでに幼稚園は閉鎖され、日系一世のためのデイ・ケア・サービスが週何回か持たれている。道路を隔てたマツバラホテルからスケッチをした。季節は冬、冷えが身に沁みた。

アルト・ダ・ホンダーテ メソジスト教会 ブラジル

 ブラジルは格差の「先進国」だ。貧困層7、中産層2、富裕層1だという。東北部(ノルディステ)は特に貧しい。その地域の歴史都市オリンダ(美しい)の街の貧しい地区にアルト・ダ・ホンダーテ(良いことの丘)のメソジスト教会がある。日本基督教団ブラジル宣教師の小井沼國光・眞樹子牧師の企画と先導で、2004年夏、神奈川の牧師・渡辺英俊さんと共に「解放の神学」歴訪の旅と名乗って、現地を訪れた時のスケッチの一枚である。

 この教会には松本敏之さんが教団宣教師として2年間在住した。國光さんは惜しくも「筋萎縮性側索硬化症」を患い、サンパウロ教会を辞し、帰国。彼の志を生かそうと、眞樹子さんら有志が中心となって「ラテンアメリカ・キリスト教ネット」が2006年秋、立ち上げられた。少数者の富の独占、貧困の増大と立ち向かう課題を、キリスト教を基礎としながら、(聖書)学習、交流、広報を3本柱に取り組んでいこうという壮大な運動である。その間、國光さんは帰天した。私も世話人の一人を引き受けている。日本は今、「格差社会」が増大しつつある。格差と戦うラテンアメリカのキリスト教基盤から学ぶことは多いのではないか。