2005.4.5、健作さんのテキストとPDF最終版(2005年執筆時点)
私は、昨年夏、友人の牧師と二人でブラジルの貧しい人達を尋ねて20日間で約9200Kmを旅しました。
極貧の人々と共に、生活と魂の解放に取り組んでいる「解放の神学」というキリスト教カトリックの教会の運動のことを学ぶためです。その旅で、ブラジル南西部の町で「フマニタス慈善協会」という福祉事業をやっている佐々木治夫神父に出会いました。
浜松出身の神父は上智大を出てブラジルのその地方の教区司祭になって47年です。30年前、一人のハンセン病患者と出会ったことがきっかけで、改めて社会福祉の勉強をやり直され、地域に皮膚科の診療所を建設。以来20数年、診療所活動や地域の貧しさと戦い人々が自立して生きるための支援を「慈善協会」を建設してやってこられました。
食事にありつけない貧困家庭の子供の学童保育、土地なき農民の土地取得闘争支援、麻薬アルコール中毒患者の更生施設、農民後継者の農業技術教育学校、老人福祉施設。その資金は初めは諸外国教会の献金でした。
しかし地域の農民の養蜂の生産品であるプロポリスがハンセン病患者やエイズ患者の回復によい事が分かり、用いているうちに、プロポリスが輸出業者に買い叩かれているのを知られました。
品質のよい原料を業者より数倍の値で買い取り農民を支援し、「協会」で加工生産施設を作り(特に特殊加工の粉末カプセル)、製品を海外の教会を通じて安く頒布して、その協力金を「フマニタス福祉活動を助ける会」に捧げてもらい事業の資金にすることを考えられました。
それは主として日本の教会の協力で順調に運びました。ブラジルの経済が、グローバルな資本に翻弄されている中で、農業事業などを自営農民が支えていく地域経済を成り立たせていくきっかけの示唆にもなっています。業者によるプロポリスの輸出品より安く、品質のよいものを提供できることはこの事業に希望をもたらしました。
私はかつて、ガンの患者さんがプロポリスで回復し社会復帰をしたのに驚いたことがあります。しかしとても高価な物だという印象を持っていました。現在、新聞広告市販の一か月分の値段(8000円)から比べると、一か月標準(1500円)は同じ力価ですから、かなり安いと思います。日本へ帰ってきて初めて、日本でも佐々木神父を支援している教会の働きがあることを知りました。そこで、佐々木神父に連絡してごく親しい知人を通じて、プロポリスの頒布を始めました。最近の佐々木神父の私への手紙です。
「プロポリスの購入を通し、いつも変わらぬフマニタス慈善協会へのご協力、ご支援を心からお礼申し上げます。……フマニタスではエイズ患者やハンセン病患者、免疫性と関係する皮膚疾患者にも栄養食品としてプロポリス服用を実施し好成績を上げています。最近、日本の沢山の方々から、花粉症がよくなったというお便りも戴いております。現在、日本で心配されている新型肺炎(SARS)の予防にも効くのではないかと思われます。使用法につきましては皆様も十分ご存知のことと思いますが、ご自分の体にあった使用法を確立することが大切ではないかと思います」
私としては、お手元に渡る価格の1割を事務経費(送料、事務費、関税など)、1割は国内で特に多いブラジルの外国人移住労働者の人権を守る運動や、日本の社会が必然的に生み出してしまった野宿者を支える運動、その大きな背景に立ち向かっている戦争を止める平和の運動(神奈川の基地、沖縄の基地をなくす運動も含めて)などに捧げさせて戴き、8割をフマニタス協力金として贈ることにして、佐々木神父にもご了解を得ています。
それは、世界の貧しさを生み出す構造を見据えて我々が生きていくことが大事だと思っているからです。戦争はその構造を大きくするばかりです。肉体的精神的健康はそれらの人間をだめにする力と立ち向かっていく生き方を支える大事な素地だと信じています。
プロポリスは免疫力をつけます。と同時にフマニタスのプロポリスは世界に開かれた心の免疫力をつけてくれます。これを通して私はいろいろなことに気がつかされました。そんな意味でプロポリスを求めてくださり心と体の健康をうまく保って、ブラジルの佐々木神父や貧しい人々とも心を繋げてくださったら嬉しいです。中間で頒布をご奉仕戴く方には、いわゆるマージンはありません。そのこともご承知ください。
聖書に「貧しい人々は幸いである」(ルカ 6:20)というイエスの言葉があります。佐々木神父は「ここにいるとこの逆説がその通りですよ、貧しい人達は希望をもって生きています」といわれました。私もあやかりたいと思いました。これからも宜しくお願いいたします。
鎌倉市二階堂405 岩井健作(日本基督教団 前神戸教会牧師)
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