岩国キリスト者平和の会:1971年度総括(1972)

1972年5月18日 岩国キリスト者平和の会々長 岩井健作

(岩国教会牧師7年度、健作さん38歳)

1972年2月25日:ほびっと開店
1972年5月15日:沖縄返還


 昨年1971年5月20日の総会で立てた運動方針は、①靖国問題との取り組み、②入管問題との取り組み、③基地問題との取り組み、④沖縄問題との取り組み、⑤東神大裁判闘争支援、⑥教会員の中に平和運動の根を広げる、⑦他団体との連携を市民運動の視点から行なっていく、等のことでした。

 ① 靖国問題:学習面では「国家神道」を例会で取り上げ、靖国法案の背景となっている明治以来の国家の宗教政策を学び、戸村政博氏の講演会(7月11日靖国阻止委員会主催、参加40名)を開催しました。特に72年2月11日の討論では、靖国問題を朝鮮・中国への過去の侵略の歴史を踏まえて考えること、朝鮮(韓国)民族の側からの視点を失ってはならないことが確認されたし、また「国家神道」学習の中で、明治憲法の信教の自由とは国家神道の成立と表裏一体であったこと、安寧秩序を乱さない限りの自由は単に明治憲法体制下だけでなく現行憲法下においてすら戦わないところでは自由そのものが抑え込まれている認識に立たねばならないこと、また身近なところでも日本基督教団の形だけの正常化、信仰告白秩序体制とも思想レベルでは関係のあることが認識されました。行動としては、71年5月9日-10日を中心としたハンガーストライキ(10名)、抗議ハガキ・電報、72年2月11日を中心としたハンガーストライキ、討論会(48名)等の抗議行動、ビラ配り(1500枚)を行いました。また地元の靖国問題として、町内会の神社寄附集め係の拒否、自治会総会での神社寄附問題について発言(個人)。その他、図書館建設にあたり業社主催の地鎮祭に岩国市が参加しないよう申し入れ(2回)、電報1回(岩井)を行い、この件では共産党市議にも呼びかけを行なった。津地鎮祭裁判の最高裁での戦いは今後重要な意味を持つので支援を必要とする。

 ② 入管問題:朝鮮初中級学校の先生を招いて話を聞いたこと、教区社会問題セミナーの在日朝鮮人問題への参加、徐勝(ソ・スン)君の裁判支援のカンパ、救援ハガキ等を行なった。西中国教区は1972年総会で新たに出され「出入国法」反対の声明を出した。今後は一方において岩国在住の在日朝鮮人の人たちの生活をしり、共に問題を担い、出入国法の底にある意図を学習して見抜いていく必要がある。

 ③ 基地問題:キリスト者独自のデモ、座り込み、PR等の行動がなかったこと、また近隣の教会への呼びかけをしなかった一年であったことを反省したい。他方、市民レベルの行動で、基地をなくす会、べ平連、PCS(米軍の配置転属)・反戦・左派等のグループと接触を持った。核搬入問題、北爆の岩国からの出撃問題等、随分個人的に行動したし、また反戦喫茶ほびっと支援を市民レベルで行った。基地の存在を戦責告白の視点、倫理感覚にまで掘り下げて捉えることを絶えず主張してきたが、それがどのように現実に起こってくる一つ一つの問題と絡み合うのかを更に深めていく必要がある。CO(良心的兵役拒否)支援をめぐっては、岩国サービスメンズセンター(NCC岩国兵士センター)のディレクター問題について米国NCCとの対話(NCC牧師会レベル)が大きな問題であったが、岩国キリスト者平和の会としては、CO問題を深く学ぶ必要がある。今年は無理としても、来年には第2回基地セミナーを岩国(キリスト者平和の会)を中心に計画したいものである。

 ④ 沖縄問題:十分な取り組みが出来なかった。山口東分区信徒大会が一つの機会であったが、深化しなかったことは残念。今後の課題である。

 ⑤ 東神大裁判闘争支援:小林晃君を通しての支援に終始した(岩国教会レベル)。キリスト者平和の会としてはカンパを送った位である。

 ⑥ 教会に平和運動の根を広げる:この面も不足がちであった。岩国地区の教会はその方向性において戦責告白の基本線を理解してはいるが、更にそれが一人ひとりの問題とどう関わるのか、特に平和を志向する運動にどう出てくるのか、潜在エネルギーをどう導き出していくかが今後の課題であろう。

 ⑦ 日中問題:中室氏を招き座談を持ったことはよかった。

 全体として、1971年度は「連合赤軍事件」を梃子にして、支配者側は反体制派の押さえ込みに警察支配体制を作り上げた。市民(非国民になり得る部分をもつ)という自主的人間が、国民という国家統制に(間接的には管理社会に)組み込まれていくことが、急速に進んだ年であった。この中にあって、岩国において市民がどのように育ち戦っていくか、その芽を捜し、連帯を作り出すことが、キリスト者の大きな課題になるであろう。岩国キリスト者平和の会は、そのような意味での対話と思想形成の場でありたいと思う。その意味で、次年度は機関紙のごときものを出す活動も望みたい。

(1972年5月18日 岩国キリスト者平和の会会長 岩井健作)


(1967年度)(1968年度)(1969年度)(1970年度)(1971年度)(1975年度)(1976年度)


「18年の軌跡(岩国キリスト者平和の会の歩み)」所収
(1977年8月7日発行、岩国キリスト者平和の会、編集:岩井健作、来間高夫)

BOX-2. 個人所蔵史料

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