阪神大地震と教会(宮崎 No.2)

2002.11.3 (健作さん69歳)

宮崎教会 初日「礼拝後懇談」

1、教会と地域
 避難所になった会堂。西宮ボランティアセンターの仮設訪問活動。兵庫教区・被災者生活支援・長田活動センタ−の設置、専従者の専任(情報収集、地域諸団体との連携、教会・教区・教団への情報発信[通信])。

2、全壊教会堂の再建(33教団総会報告書 p.132)
 *尼崎竹谷、香櫨園、兵庫、西宮聖光、神和、神戸平安、*神戸栄光、神戸再度筋、兵庫松本通、*志築、*芦屋浜。(局地性の視点)。

3、揺れ動くという事。
 生きていてこそ。陸地の思想から洋上の思想へ。価値観の転換。知識と知恵。聖書の思想(九十九匹、ルカ[荒れ野に]とマタイ[山に]、と一匹の違い)。

4、日常性と非日常性。
 日常のことが途絶える意味で非日常。日常の逆転。日常では考えられない事が、当たり前になる。物の所有より心の繋がり。

5、局地性
 激震と周辺、全壊と半壊、死別と無事、官と民、霞ヶ関と兵庫県庁、政策決定の東京一極化の問題、常議委員会と教区。温度差。

6、弱者を襲った地震。
 須磨から西宮までの断層。幅約300-500Mの海岸線地帯。阪神電車沿線(主として阪急沿線より上は被害僅少)。明治以後の富国強兵政策を支えた重工業都市神戸の労働力人口の居住地帯。但馬・播州からの都市流入、在日朝鮮、沖縄から移住、など底辺労働者層。
 孤独死(230名)、「復興住宅の独居死 79人。神戸市営約4倍の発生比率」「再建の陰進む孤立・酒・男性40ー50代」というタイトルの記事。神戸市営復興住宅「死のすみか」浮き彫り、死亡退去2割超263世帯」

7、個別性。
  被災それぞれの物語。一般化されない無数。Nさんの葬儀。感性と聴くことと語り継ぐこと。聖書の歴史観。

8、危機における出会い。ボランティア。行政に取り込まれた部分、取り込まれない部分。横関係としての出会いの物語。

9、安心と安全の違い。人の繋がりのある街作りか、都市機能の優先か。教団応急仮設住宅の働きと意味(59棟の使命)。持ち家政策と借家政策。全壊187241戸、復興戸数[災害復興公営38600, 公的賃貸67500, 民間賃貸79000, 分譲46000の供給<神戸大調査>]の過剰。家賃公費補助の打ち切り問題。高齢化・核家族型都市高層住宅。二重ローン。「神戸市住家賃、一万世帯が16億円滞納」、かなりきめ細かい徴収をやっても。行政の施策の必要。高齢化の問題として、神戸市営復興住宅「死のすみか」浮き彫り 死亡退去2割超263 世帯」

10、神戸の冬を支える会。
 1995年2月開始、路上生活者499(11)、法制化の問題、夜回り、仕事(有効求人倍率神戸 0.46、全国 0.60)。カトリック教会の取り組みと持続。

11、死者との出会い。
 死者6432(内18才未満のこども 518)。追悼か想起か。流れる時間を生きることと流れない時間を生きること。こどもの死の意味。死から思い巡らす文化。忘れないで(7回続けられている「子どもコンサ−ト」(兵庫教区、教団教育部支援)単なる過去になっているメモリーをいかにしてアナムネイシス(想起する)するか。過去を現在化するかがキリスト教でいう「聖霊」の働き。ここを伝える責任がある。右肩あがりのなかで高度経済成長の生活体系は死の体験を含まなかった。死の意味を経験の世界に共有していくことが地震後の時代の課題。

12、音楽、芸術、文学などの役割。一般の救援活動で音楽、絵画、文学の果たした役割は大きかった。兵庫教区子どもコンサ−トの、新沢としひこ氏の歌「ぼくのこと まちのこと きみのこと」
絵画展、俳句、短歌。自分の体験を経験化することができる。
神戸教会会報(95/4/5,7/16)号の俳句。

教団関係資料
1、*『大震災資料集−兵庫県南部大地震と日本基督教団』2000/11
2、*『地震−地震・教団』1995/11
3、 『地震関係兵庫教区総会議長書簡』1996/5
4、*『壊れた国・壊れたモノ・こわれた心』1999/9
5、*『いのちを考える』2001/6
6、**『地の基震い動く時−阪神大震災とキリスト教』(岩井健作 1996)

(宮崎教会 No.1 礼拝「子供の未来に祈りを」初日)

(宮崎教会 No.3 信徒大会 講演「聖書と教会 − 今、どう読むか」二日目 2002.11.4)

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