みんなでとりくむ行い(1973)

1973年2月4日 岩国教会週報
「先週説教より」ピリピ4:8-9

(岩国教会牧師7年目、健作さん39歳)

あなたがたが、わたしから学んだこと、…見たことは、これを実行しなさい。(ピリピ4:9)

 どの時代にも"悪徳のすすめ"のようなものがある。例えば、マイホーム時代に『家出のすゝめ』を語る寺山修司の如くに。道徳的徳目というものは、いずれ部分的な真理であるから、一つの時代とか状況の中では、必ず積極面と消極面、肯定面と否定面がある。だから、その両面を承知の上でなお、その徳目が持っている自分にとっての固有な響きを掴むことが大切なのではないだろうか。ピリピ4章8節では、パウロはストア哲学の徳目を並べながら「全て…べきことを心にとめよ」と言っている。「心にとめよ」とは「自分はそれをどう実行するか、」まで念頭に置いて心に留めることを意味する。行動というものが力を持つのは、行われたことの結果にもあるが、それと同時に、その行動が一つの訴えとか促しとなって人々の間に伝わっていく時である。だから、ある人が「我々がベトナム人民を支援するのではない。むしろ、ベトナム人民が我々の運動を支えているのだ」と言って、自分たちの営みの根を見つめることの大切さを教えているのは、心すべきである。亀の里の身障者自立アパートのことでも、身障者たちの自立と自由への意志が、我々の営みを支えていると言って過言ではないと思う。徳目の中に行動の契機を見出し、その行動が自分一人よがりなものではなく、多くの人の心に訴えかけ、共感を呼びながら拡がってゆくような人間をパウロはこの箇所で願っている。そして、まず自ら模範を示す。私たちもありふれた一つの徳目の中に(否定面を十分見据えつつ)みんなで取り組んでいく行いのきっかけを掴んでいく積極さを持とうではありませんか。

(1973年1月28日 岩国教会 岩井健作)


BOX-1. 岩国教会所蔵史料

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