2012年2月25日 キリスト新聞
(明治学院教会牧師、健作さん78歳)
「兵士より前に人間であれ」などと言えば軍隊は成り立たない。かつてそんな兵士たちに出会った。ベトナム戦争時、岩国に駐留していた米軍の反戦兵士である。
パレスチナ占領地への兵役で虐殺、略奪、一般住民の弾圧を体験して人間としての葛藤に悩むイスラエル軍退役青年たちが、政府、世論の重圧に抗して「沈黙を破る」というNGOを立ち上げ写真展を行い「占領」の悲惨を世論に訴えた。
20年来パレスチナ占領の構造と悲惨を難民キャンプに密着し、どん底の生活にも拘らずそこに輝く人間性を映像で訴えてきた土井敏邦監督が、人間共通の“普遍性”を描く目的で130分の映画『沈黙を破る』(2009年)を作成した。
日本キリスト教婦人矯風会は1月31日「パレスチナを忘れない 第3弾」としてこの映画の上映会を、「ガザの子どもの絵の展示」と同時に、大久保の会館で行った。参加者65人。大東京では極小の集いだったが忘れることのできない集会であった。
自爆テロ、そして報復攻撃という連鎖に、娘をテロで失った親が憎しみを超えて「対話」が解決だ、と述べる場面の取材などいわゆる「パレスチナ支援運動」の感覚を超えた平和への基本的視点を示された思いがした。
会津 分断を繋ぐ人格と説得力(2012 望楼 ㉚)