会津 分断を繋ぐ人格と説得力(2012 望楼 ㉚)

2012.3.24 キリスト新聞

(明治学院教会牧師、健作さん78歳)

 放射能汚染は天災ではない。「原子力ムラ」という構造権力の犯罪である。これはまた民衆を分断する。

 片岡輝美さん(日本基督教団 若松栄町教会員)は「一人ひとりを分け隔てる放射能汚染~『安心』『安全』がわたしたちを蝕みます」(『月刊むすぶ No.493』)の中で民衆が分断されてゆく有様を次のように書いている。

「年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫です」と講演する福島県側の学者山下俊一氏の『安心です。安全です。大丈夫です』に対して、「ほんとうに安全なのか」と勇気を出して問い詰める人がいた。
そこに同じ町の人が「もうやめろ! もうやめろ!」とヤジを飛ばし「国の言う通り」と発言すると、拍手が沸いたと。

 彼女は7月「会津放射能情報センター」を立ち上げ、代表に就任、「放射能から子どものいのちを守る会」を作り「健康相談」も始める。

 ドイツの人権団体などの寄付で食品を測る高額な放射能測定機を購入し、

安全かどうかを決めるのは国ではなくて、わたしたち住民が、そして親が決めることが大切なのだ

と説く。説得力がある。

「原子力安全神話」の過ちをすら認めない「構造権力」との闘いは「分断」を「繋ぐ」人格と説得力を必要とする。(健)

「望楼」インデックス

歌集 小さな抵抗(2012 望楼 ㉛)

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