1982年2月14日 神戸教会礼拝
「牧会祈祷」原稿
(神戸教会牧師4年、健作さん48歳)
新しい朝、私たちはそれぞれの生活の持ち場から、あなたへの思いを込めて、この場に集まって参りました。どうかこの場を公同の礼拝の場として、私たちをきよめ、あなたの前に真実な姿において立たせて下さい。
あなたの前に心張り詰めた気負いを解かれ、ぬかずき、罪の赦しを覚えさせて下さい。そして、開かれた心を御与え下さい。私たちが作り出してしまっている閉鎖的な人間の交わりを打ち破り、今日から始まる新しい週を、接するほどの人に愛と希望をもって接し、福音を証する者となさしめて下さい。そのために、私たちに福音の真理を聞きとどける耳と心を強めて下さい。
父なる神、先週は私たちの国では二つの大きな事故があり、思いもよらぬ時、思いもよらぬ出来事で命を失われた人たちがありました。私たちの国の多くの者が長く重い憂いの時を感じましたし、社会全体が足下のところであり方を問われている思いを持ちました。死せる者の死と残された者の悲しみを、空しくならしめないために、それぞれの責任の持ち場で、歩みを正していく、よすが(心の拠り所)とならしめて下さい。
父なる神、私たちは2月11日を「信教の自由を守る日」の自覚を持って過ごしました。兵庫教区が行いました集会においては、この問題に心血を注ぎ、研究をし、実践もしている優れた講師を迎える啓発を受けてことを感謝いたします。
また私たちが、この国の精神的風土と権力構造の中で、主イエスの贖いと救いを信じて、キリスト者であることの難しさ、それだけにまた証しの責任と喜びとを与えられました。どうか、右傾化し経済優先、そのための軍事促進に向かう国のあり方に抗して歩む人々と共なる歩みをすることができますように。そして、私たちの民族のあり方ゆえに、苦しみを負う民族のあることへの思いを深めていくことを得させて下さい。
主よ、私たちの教会の肢のうちにある、また私たちの身近なところにいる、病める兄弟姉妹にどうか力を与え、病に打ち勝って、あなたの平安と慰め、そして励ましのうちに、日々をもつことを得させて下さい。看病する者に力を与えて下さい。また人知れぬ悩みのうちにある者、遠くに離れている者、また年老いて、礼拝に参加し得ない者たちの上に、顧みと平安を御与え下さい。
この祈りをここに集いし者の心のうちなる祈りに合わせて、主イエス•キリストの御名によって、御前に捧げます。アーメン
1982年2月14日 神戸教会礼拝「牧会祈祷」岩井健作

