自衛官合祀拒否訴訟の第8回公判を傍聴して(1975)

1975年7月20日 岩国教会週報

(岩国教会牧師11年度、健作さん41歳)

 皆さんに代わって山口地裁に公判傍聴に行ってきました。傍聴券を獲得するため、3日前の未明から昼夜を座り込んで下さった、山口信愛教会、防府教会、小郡教会、福間教会の「中谷さんを支える会」の人たちや労組の人たちの苦労の滲んだ傍聴券を手にして、岩国から今回は私と糸井さんの二人が法廷に入りました。本来は人数制限などしないで済む大きな法廷で行えばこんなことは起こらないのですが。

 事件を知らない方に一言で繰り返しますと、死亡した自衛官の夫を、妻の反対の意志を無視して、自衛隊と隊友会が勝手に護国神社に合祀したというものです。合祀の理由は、国のために死んだ者は公のものであり、現職自衛官の士気を鼓舞するため、というものです。これを憲法の政教分離の原則の立場(20,29条)から明確な違憲行為として訴えたのが、中谷康子さん(山口信愛教会、老人ホーム職員、41歳)です。そして、護国神社法阻止、政教分離の立場、さらに反自衛隊の立場を含みつつ、この訴訟を支援しているのが中谷さんを支える運動です。

 この度は、合祀を行った自衛隊山口駐屯地事務官・Y氏(50歳)の証人尋問が2時間行われました。人の良さそうなこの人は尻尾を出すように原告に有利な証言を行い、例えば隊友会の事務は自分一人がやっていた等、全体として事件の全貌がパノラマのように見え始めた公判でした。更に原告弁護団が証拠として出した防衛庁次官通達(昭和49年11月19日)には「殉職隊員の合祀について、部隊等が関わることは厳に慎むべきである」とあり、政教分離を目指すこの運動の成果は徐々に現れていると言えます。公判後、50余名で「支える会」の集会が行われました。次回公判は11月17日(月)に行われます。見るからに健康そうな調理師の中谷康子さんから岩国教会の皆様によろしくとのことでした。

(1975年7月20日 岩国教会週報 岩井健作)


BOX-1. 岩国教会所蔵史料

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