沖縄本の紹介2冊(2016 書評)

2016.5.24 執筆、掲載誌不明

(日本基督教団教師、健作さん82歳)

新崎盛暉(あらさき・もりてる)著『日本にとって沖縄とは何か』(岩波新書 2016/1/20)

 今、沖縄・辺野古では政府によって、巨大新基地建設が強行されている。

 沖縄現代史の専門家(沖縄大学名誉教授)はこの事実を、戦後70年の日本・米国そして沖縄の関係史の“到達点”として捉える。

 米国は戦後日本の占領に当たり「沖縄」を国境の「外部」に位置付け、安保体制の矛盾を「構造的沖縄差別」に顕在化させた。この不条理に県民は気付き、国家と対峙する意識が芽生えた。

 これを「沖縄」の問題としてではなく「これを日本全体の問題」としてどう克服するか。「これはあなた自身の問題である」(帯)と厳しく問うのが本書である。

 全体は5章から成る。

① 平和国家日本と軍事要塞沖縄
② 60年安保から沖縄返還へ
③ 1995年の民衆決起
④「オ−ル沖縄」の形成
⑤ 沖縄、そして日本は何処へ

 普天間移設が「唯一の解決策」だと、憲法の恣意的な法解釈で、強権的・暴力的な施策を繰り返す政府に、この闘いを沖縄は「自己決定権」の行使、強大な国家権力に対する地方自治の堅持だと言う。

 2015年4月に創設された「辺野古基金」への寄附は 4億5千万、「国会包囲ヒューマンチェーン」も7000、15000、22000人と参加者は増加している。辺野古新基地阻止は抑止力効果で安保法制化に踏み切った安倍内閣に抗う眼前の実践的課題である、と著者は言う。

 まずは「日本が惰性的対米従属の仕組みから離脱することに責任を感じ、行動すべきではないか」が、著者の促しである。

 私(岩井)はかつて、平良修さん同道で新崎さんとお会いした時、日本基督教団が取り組んでいる「『合同』のとらえなおし」は「教団領域の個別問題」として「構造的差別」との取り組みと理解してやっていると、お伝えしたことがある。今の教団執行部は「沖縄関連事項」を宣教課題からすべて放逐した。だからこそ、各個教会・教区、また有志で、この手近な本を、社会部、読書会など、何かの枠組みを作って共に学んで欲しいと切に願う。

▶️ 構造的沖縄差別を考える(2012 沖縄・もとすす)

翁長雄志(おなが・たけし)著『闘う民意』(角川書店 2015/12/15)

翁長雄志

 この本は「辺野古に基地はつくらせないという堅い意志を沖縄県民は手ばなすことはもはや絶対にない」(47頁)という現実が基礎になっている。それを背景に闘う翁長雄志氏(現沖縄県知事)の文章が綴られてる。

 翁長知事は2015年10月13日、知事権限をもって辺野古埋め立て承認を取り消した。埋め立てを強行する安倍政権と全面対決をしている。

 2014年11月には、36万:26万の大差で新基地建設賛成派の仲井眞氏を破った。まさに「闘う民意」である。翁長氏は1950年那覇市に生まれ、54歳の時、癌で死を感じたという。父・兄と共に沖縄の自民党の政治家である。那覇市会議員2期、県会2期、市長4期の後知事。子供の頃から「沖縄県民の心を一つにする政治」に力を尽くしたいと思っていたという。

第1章「日本政府との攻防」。自治体、地元の声を踏みにじって法治国家といえるのかと問う。
第2章「この国を問う」。「私は辺野古のピンチをチャンスに変えてゆきたい」。
第3章「品格ある安保体制を」。日本の自立は、沖縄の自立から。沖縄は自己決定権を初めて行使するのだ。「私はあらゆる手段を使って。新基地建設を止める覚悟です」(p.144)。
第4章「苦難の歩み、希望への道」。沖縄には本土と違って「受け継がれてきた闘争のDNAがある」。「私は知事選で、保革を乗り越えて『イデオロギーよりもアイデンディティー』を強調した。それは仲井眞さんが振興費と引き換えに埋め立てを承認して『有史以来の予算』と礼賛して語った時の沖縄県民の猛烈な反発を汲み取ったスローガンを掲げたことに他ならない」。
第5章アジアへ、世界へ。県民の英知を集めた「沖縄の21世紀ビジョン」には、3つの視点がある。
① 基地経済からの脱却
② 経済発展プラン
③ そして沖縄の自然・歴史・伝統・文化のソフトパワー

 翁長さんは「今の政治は、私でなければできないという自負がある」という。

 これを読んで、私は翁長さんを応援してゆこうという気持ちを強くした。

 はがき一枚で良い、気持ちを伝えたいと思っている。

(辺野古基金 5/11日現在 5億6702万4474円、94,973人)

▶️ 辺野古への想い(2017 沖縄)

◀️ 「求め、すすめる連絡会」インデックス(-2017 沖縄・もとすす)