2014.5.25 執筆「あとがき」最終版
2014.7.20 『兵士である前に人間であれ − 反基地・戦争責任・教会』所収
(前明治学院教会牧師、健作さん 80歳)
あとがき
この「あとがき」を書いている時点で、安倍政権は「集団的自衛権の行使」を容認し、平和主義の日本国憲法を「国民投票」にもかけないまま解釈変更し、立憲主義を破壊しようとしています。
すでに「特定秘密保護法」は可決されました。
また「エネルギー基本法」は命の破壊につながる原子力をベースにして決められました。
「原発輸出」「武器輸出」も進められています。
「東日本大地震・福島原発事故」ではまだ13万人が避難生活を余儀なく続けさせられています。
民衆の命と生活が破壊され、格差社会の上層部と国家権力を握る一部の人々が潤うという、金と武力の「国造り」が着々と進められています。
他方、首相官邸前の毎週金曜日の「脱原発や権力横暴阻止を叫ぶ」民衆デモは百回を越しました。
「3・11(2011年3月11日の東日本大震災)」以後、「脱原発」や「基地騒音」に関わる訴訟で、民衆の叫びと運動に応える「司法判断(福井地裁の大飯原発再稼働認めず、厚木基地自衛隊機夜間差止め)」も出ています。
国家と人間の命(民衆)との闘いの正念場を覚えます。
こんな時「兵士であるより前に人間であれ」という「国家と人間の分水嶺」の問題を提起された運動を振り返ってみることは、一つの思考の回路として、きっと意味あることと存じます。
第二部は、ますます必要になる教会と社会の関係、その底を支える聖書理解への問題提起として、少し古いものですが、(最近のものは、また別の機会に稿を起こすとして)一人の牧師の叫びをお汲み取りいただければ、著者の幸甚とするところです。
このような視点を早々と洞察し、著者を鼓舞し、自ら実務に骨身を削って、本の形にまで仕上げてくださったのは、偏に畏友・大倉一郎さんの情熱です。
同氏の心意気なしにはこの本は誕生していなかったでしょう。
言葉にはならない感謝の念を抱いています。
それを応援して「次にはケンサク本を」と声をあげてくださった「ラキネット出版」の方々の励まし、そして編集、校正に努力して下さった大久保徹夫さん、沖田忠子さんには心から感謝いたします。
2014年5月25日
鎌倉の寓居にて 岩井健作