「望楼」 哀しみの南京

2011.12.3 キリスト新聞

 わたしたちの日中関係への思考は、メディアのその時々の情報に影響される。例えば、尖閣列島、経済急成長、軍備拡大など。過去の日本の侵略戦争の加害責任のことを思考の根底に据えることは少ない。

 だが、その過去にこだわり続けている夫妻がいる。ノンフィクション・ステージ、舞台『哀しみの南京』を演じる渡辺義治・横井量子夫妻である。作・構成・演出・美術・出演まですべてを2人で行う。海外・南京市、上海市、ニューヨーク市をはじめ国内で93ステージが行われた。各地での公演には牧師・僧侶・市民運動家たちが応援してきている。

 横浜市「のげシャーレ」で12月27日その劇が公演される。上演にさいし、実行委員会代表の青山学院大学名誉教授・関田寛雄牧師は「日本人として必見のドラマです。……大虐殺の犯罪を直視し、謝罪すると共に、日本と中国の和解と共生の新しい歴史の出発を築かねばなりません」と奔走する。

 歴史意識の希薄なこの国で、また「戦争責任」を信仰との関わりで捉える事の少ない教界で、さらには民族的偏見による歴史の独断的歪曲を行う勢力に抗して、このドラマの公演される意義は大きい。(健)