南三陸の避難所を訪ねて(2011 望楼 ㉓)

2011年7月23日(土)
「キリスト新聞」掲載

(震災から4ヶ月、
明治学院教会牧師、健作さん77歳)


 「結束力だけは自慢できる」と南三陸町中山集落の阿部倉善さん(馬場・中山生活センター会長)がNHKの取材で語っていた。

 震災直後、外部との連絡が途絶えた中で、集落の漁民家族約220人は高台の集会所で避難共同生活を始めた。

 阿部さんのリーダーシップは日頃の漁業生活の共同意識がベースにあり、災害緊急時を乗り切ったのだろう。

 4月11日からはホームページを立ち上げ、刻々と変わる避難生活が毎日数十枚の写真で綴られている。

 災害時の立ち上がりは、自助・共助・公助の三つが大事だと言われる。

 必死の自助に加えて多くの共助の支援が入っている。

 キリスト教関係でも、仙台北キリスト教会、錦織バプテスト教会、仙台YMCA、佐久バプテスト教会。

 他にも、アジア協会、国境なき医師団、高野山真言宗、諸企業、個人、ボランティア団体……。

 仮設住宅も、行政の杓子定規には怒りをぶつけて交渉、土地も私有地を近くに確保、道路も自分たちで整備、近くセンターの閉鎖を迎える。

 筆者は7月7日、南三陸に阿部さん夫妻を訪ねた。

 これまでの歩みを、涙を流しつつ、語ってくださった。

 地震・津波災害は、至る所で日本の地域力、そして「民力」を引き出した。

 新しい力に注目したい。

(岩井健作)

宮城県本吉郡南三陸町歌津字馬場85-2 馬場中山生活センター

「望楼」

沖縄を語る言葉(2011 望楼 ㉔)

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