「望楼」 生態系保全という課題

2010.11.18 キリスト新聞

 生物多様性条約第10回会議(COP10)で途上国の貴重な生物資源の利用と利益配分を決める「名古屋議定書案」は作成が難航した。アフリカ諸国は利益の「遡及適用」を植民地時代にまで遡ることを主張したという。

 被造世界と人間の関係で、被造物に対する人間の暴力を戒めた聖書的・神学的なゲルハルト・リートケらによる発言を耳にし、南北問題で経済の格差問題や植民地主義批判を突きつけられたのは、先進諸国キリスト教にとってそんなに遠いことではない。これも「解放の神学」などで、聖書解釈、神学のパラダイム転換が求められている。

 今回の争点となった利益配分の問題は、「生態系保全」への英知結集を迫られ、先進諸国家のみならず企業の責任までもが問われていることだ。折しも、キリスト教世界ではこの6月、世界宣教会議百周年「エディンバラ2010」が開かれた。

「全被造物に向けられた変革と和解をもたらす神の愛の宣教への参与」はCOP10の課題を受け止める神学的素地があると信じる。

 それにしても、社会の動きが問題にならず、いわゆる「教勢」の低下が喫緊の主要なテーマになっている「日本の教会」は、この課題をどう受け取っているのだろうか。(健)