琉球、アイヌ、歴史認識(2009 望楼 ⑧)

2009.10.17 キリスト新聞

「1846年の琉球は日本ですか」こんな質問がでた。穏やかな照屋善彦琉球大名誉教授が語気を強めて「そうです」と答えたのが印象的だった。

 6月13日東京・教文館ウェンライトホールでの日本キリスト教協議会教育部主催の「歴史を学んで、未来を拓くフォーラム ベッテルハイムの琉球伝道」の集会席上のことであった。この年のベッテルハイム師の伝道から163年になる。

 質問者は1609年薩摩藩が琉球王国に侵攻、実質的な支配においた歴史を知らなかったようだ。『福音と世界』誌(08年11月号)で饒平名長秀・神愛バプテスト教会牧師は、「当時沖縄は異国」との先入観を「浅薄な歴史理解」と批判し、言語学者伊波普猷の「半死の国」を引用し沖縄の苦悩を凝視する。

「日本伝道150年」につき「アイヌ情報センター」の久世そらち氏は亡き萱野茂さんの言葉「この島を日本国に売った覚えもない」を引用、“150年”を掲げることは「北海道を幕藩体制に組み込んだ(1869)アイヌに対する収奪と抑圧による侵略の側に立つことの証しに他ならない」(『ノヤ』36号09年8月16日)という。「日本」を歴史認識なくして無自覚に使う感覚を戒めねばならない。(健)

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