光と合掌の教会(2009 望楼 ⑥)

2009.7.25 キリスト新聞

 児島昭雄氏の写真集『日本の教会堂・その建築美と表情』(日本基督教団出版局、1992)に「光と合掌の教会」が載っている。宮崎県日向市の有形文化財建造物の日向新生教会会堂である。

 基本設計は芸術書道家として名高い吉田功氏。同氏の友人山本爽起子さんがここの牧師を43年一筋に務めている。

 彼女は今年『雲と火の柱』(コイノニア社)を出版した。吉田氏が装丁し、緑色の布装に彼の金文字が光る宝石のような本だ。山本さんが『教会と聖書』誌に連載した「聖書研究」13編と吉田氏の詩のような文章を含む会堂の記録を二つの焦点にした本である。聖書研究にはテキストの読みに織り込まれて、100人近い交流のあった牧師や信徒の名が出てくる。

 山本さんは熟年になって新約学者・青野太潮氏のもとで新約原典を学び、歴史批評的方法で聖書を読み、「戦争責任告白」の意義を再評価し、歴史の苦難を負う教会形成へと軸足を深めた。大らかな人柄もあって教区議長や教団常議員なども務めた。筆者はこの教会に招かれ、現代の教会の変革のエネルギーを感じた。

 エルサレムの中央からではなくガリラヤの辺境から歴史を動かす出来事が起こったことを深く連想するひと時であった。(健)

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