クリスマスの温かみ(2007 クリスマス・オルガン・コンサート)

2007.12.9、明治学院教会クリスマス・オルガン・コンサート、
明治学院大学横浜キャンパスチャペル
◀️ 午前、礼拝説教

(明治学院教会牧師、健作さん74歳)

 今日、受付でお渡ししたチラシに、クリスマスの聖書の言葉を一つだけ記しておきました。

 あなたがたは、布にくるまった飼い葉桶のなかに寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。(ルカによる福音書 2:12、新共同訳)

 この世では最も弱き者・小さき者である幼な子がこの世での神の姿であり、救いの徴である、と告げ知らされている場面です。

 水野源三さんという方がおられました。1937年、長野県の生まれです。小学校4年の時、集団赤痢という病気にかかって高熱で脳膜炎を患い意識を取り戻した時、首から下の体の自由と言語を奪われていました。極度の脳性麻痺でした。それからは障害者に対する偏見にさらされ、本人はもとより、家族の苦労は大変でした。

 彼の家はパン屋さんでした。たまたまパンを買いにきた進行性筋萎縮症で杖をついていた牧師に出会います。経過はありますが、この出会いをきっかけにして信仰に入り、それを深めます。お母さんが工夫をした、アイウエオの文字盤を使い、目のまばたきで、文字の位置を知らせ、詩を作るようになります。新聞への投稿句が入選して、弾みがつき、紆余曲折を経て、多くの人を励ます「詩集」が刊行出来ました。

「まばたきの詩人」といわれるようになります。

「生きる」 水野源三

神様の
大きな御手のなかで
カタツムリは
カタツムリらしく歩み
蛍草は
蛍草らしく咲き
雨蛙は
雨蛙らしく鳴き

神さまの
大きな御手の中で
私は
私らしく
生きる
「ありがとう」 水野源三

ものが言えない私は
ありがとうの代わりに
ほほ笑む
朝から何回も
ほほ笑む
苦しい時も 悲しい時も
心から
ほほ笑む

 彼は、物と名の付く物は何一つ動かすことが出来ませんでした。しかし、人の心をたくさん動かし、47歳の生涯を終えました。

 彼は与えられたものの底に徹して生きました。付け加えて生きるのでなく、与えられている物を掘り下げて生きました。

 NHK教育テレビが「いのちのうた 水野源三の世界」をかつて放映しました。

 そんな水野源三さんの詩に、クリスマスを歌った詩がたった一つあります。

「救いの御子の降誕を」という詩です。

「救いの御子の降誕を」 水野源三

一度も高らかに
クリスマスを喜ぶ
賛美歌を歌ったことがない

一度も声を出して
クリスマスを祝う
挨拶をしたことがない

一度もカ-ドに
メリ-クリスマスと
書いたことがない

だけど だけど 

雪と風がたたく部屋で
心の中で歌い
自分自身にあいさつをし
まぶたのうらに書き
救いの御子の降誕を
御神に感謝し喜び祝う


 クリスマスを彩るものは何もなく、雪と風が窓を叩く部屋の中に、じ-っと横たわるだけなのに、そこには豊かなクリスマスの温かみがあリます。

 水野源三さんはこうも詠んでいます。

木枯らしの吹くまま
木の葉 舞い落ちぬ
われも生きたし
み心のまま

 木枯らしに舞う木の葉は消えゆくイメージですが、そこをさらに下げたところに、逆説に繋がる「温かみ」をクリスマスは持っています。

(サイト記)水野源三さんの詩集が筆者の手元にないため、漢字仮名遣いや改行等、出版物と比較した正確なダブルチェックはしていません。最後の詩はタイトル不明です。ご了承ください。m(._.)m。
 水野源三さんの詩に筆者が触れたのは、基督教独立学園の合唱曲を通してでした。

▶️ (サイト記)桝本うめ子の生涯 − 桝本華子、武義和(2019 出会い)

「悲しみよ」
詞:水野源三
曲:吉原康
歌:基督教独立学園高校

「悲しみよ」 水野源三

悲しみよ悲しみよ
本当にありがとう

お前が来なかったら
つよくなかったなら
私は今どうなったか
 
悲しみよ悲しみよ
お前が私を
この世にはない大きな喜びが
かわらない平安がある
主イエス様のみもとに
つれて来てくれたのだ

 この動画の2曲目「おおぞらのこころ」の作詞は八木重吉さんです(水野源三さんではないです)。

「おおぞらのこころ」
詞:八木重吉
曲:武義和
歌:基督教独立学園高

わたしよ わたしよ
白鳥となり
らんらんと 透きとおって
おおぞらを かけり
おおぞらの うるわしい こころにながれよう
「こんな美しい朝に」
詞:水野源三
曲:武義和
歌:西南学院大学聖歌隊チャペルクワイア

空には
夜明けとともに
雲雀(ひばり)が鳴きだし
野辺には
つゆに濡れて
すみれが咲き匂う

こんな美しい朝に
こんな美しい朝に

主イエス様は
墓の中から
出て来られたのだろう

(次の曲も好きなので、またの機会に音源データをアップするかもしれません)

「星よ光りて」
詞:水野源三
曲:武義和

1.ユダヤの国の小さき村に
 悩み苦しむ人々救う
 神の一人子生まれしことを
 知らせよ 知らせよ
 星よ光りて

2.君の君をば拝するために
 くらき夜道もよろこびいさみ
 はるばると行くものを導き
 進めよ 進めよ
 星よ光りて 

3.救いの御子が産声上げて
 真白き布でくるまれたまい
 静かにねむる馬屋の上に
 止まれよ 止まれよ
 星よ光りて

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