わたしのたからもの(1998 石井幼稚園)

「石井幼稚園だより No.58」1998年12月号 所収

(神戸教会牧師・石井幼稚園園長 65歳、震災から4年)

布にくるんで飼い葉桶に寝かせた ルカ 2:7


 漫画家こだまちかさんから『わたしのたからもの』(白泉社 1998/9)というコミックスをいただきました。

 愛し合って結婚した二人によしあき君が与えられます。その子はダウン症児です。優しくておだやかで少し知恵おくれがあります。五歳になってもウンチをもらす彼に父親は躾だといって「ゴン!」をします。よしあき君のことで夫婦はよくけんかをします。「クソ女」「ハエ男」といってののしり合います。「なんで普通の子に生まれてくれなかったの」となげきます。そんな時、電子メールが入ります。

「よしあきママへ ー いのちの神様は、弱い子を授ける親を選びます。うんと強くてかしこくて、愛情深い親だけが、強い子を守り育てられるのです。あなたは、選ばれた親なのです。」

「何よ!これーッ」

 とママはメールを破って捨てます。それからいろいろあって、ある時、よしあき君が迷子になります。やっと再び出会った時、夫婦にはこの子の存在の意味が分かります。「わたしのたからもの」。こんなコミックスです。

 もう10年近くも前、ダウン症児のT君をヨセフさんにして囲み、セリフは「みんなでいうたらいいやん」と言って、演じられた幼稚園のクリスマスの聖誕劇のことはいつまでも忘れられません。

 競争社会というこの世の力の強い者の社会のあり方を問う方として、救い主イエスは飼い葉桶の中に生まれたのではないでしょうか。貧しく、力なき姿の救い主をこそ、喜び祝う心を与えられるようにと祈って、今年のクリスマスを迎えましょう。