「石井幼稚園・石井伝道所だより」1983年12月 クリスマス号 所収
(神戸教会牧師・神戸教会いずみ幼稚園々長 50歳)
神はそのひとり子を賜ったほどに、この世を愛して下さった。 ヨハネ3:16

『ふたりのサンタおじいさん』という絵本があります。1976年に偕成社から出ている創作絵本です。
絵を画いているのは、たなかまきこさん、といって大変ファンタジックな絵です。この方のおじいさんは兵庫教会の牧師でした。またお父さんは田中忠雄画伯で、聖書の中のお話をテーマにした作品をたくさん残しておられます。
絵本のお話は、あまんきみこさんです。子ウサギのみみこがサンタのおじいさんに手紙を書くと欲しいものを持ってきてくれることを知って、子ウサギたち四匹が相談して、山の麓の木こりの「さんた」という名前のおじいさんのところに手紙を届けるのです。
困ったさんたおじいさんは、サンタおじいさんにその手紙を届けます。すると、サンタおじいさんは今夜手伝ってくれませんか、と言って、ふたりのサンタさんが夜中、子どもたちや動物たちのところを廻る、というお話です。もちろん子ウサギたちも贈り物をいただきました。
プレゼントを頂くということは、いつになっても夢があって嬉しいものです。頂く喜びを本当に知っている者こそ、また与えることをも喜びとすることができるでしょう。
聖書では、神はひとり子を賜った、と神の最大のプレゼントのことを語っています。
だからこそ、私たちはクリスマスに、献げるのです。クリスマスに大きな箱で献金箱を作った年長組の子が、「この中に献金とぼくの心を一杯入れてきてあげる、神さま喜んでくれるかなあ」と言っていたことが心に残っています。
夢のある幼児期のクリスマスに受ける喜びと献げる喜びとを共に体験できたらどんなに素晴らしいでしょうか。いや、子どもの心に教えられて、大人たちも神に近づくことを学ぼうではありませんか。

