聖徒の交わり(2015 信徒講壇 ⑳ 黙示録)

ヨハネ黙示録 21:1-4、”新しい天と新しい地”

2015.10.18、 明治学院教会(信徒講壇 ⑳)永眠者記念礼拝

(日本基督教団教師、単立明治学院教会信徒・前牧師、岩井健作 82歳)

わたしはまた、新しい天と地を見た。(ヨハネの黙示録 21:1、新共同訳)

1.✨「母が亡くなってから、もう母は居ないという思いと同時に、今までより母が一層身近に感じられるようになった」

 ある方がそう言っておられました。

 そう言えば私なども父が亡くなって32年、私自身が父の死去の年齢を越えましたが、単に「歴史の人」という過去の人ではなく、常に語りかけてくる存在になっています。

 それだけではなく、今度、群馬県に住んで安中教会の礼拝に出ていると、新島襄の人格以来の、何代にもわたる群馬に関わる人格の集積を感じます。

2.ここである神学者の言葉を思い出します。

「人間の本質は、霊魂というモノでもないし、個別存在でもない。人間の人格とは、関係によって構成される豊かな内容を持つ。人の一生に出会う多くの人々との関わりの集積の総体が人格というものである。
 孤立した人間あるいはキリスト者というものはない。キリスト者とは教会という生命体の、交わりを基盤として成立するものである。
 そこから考えると『生きている者が死んだ者を弔い、末長く死者を記念することは、世の習わしであるが、逆に死者が生きている者を支えている』ということはあまり認識されていない。
「生と死」「正者と死者」との有機的関係、相互媒介的関係を考えると、死者の果たしている積極的役割が認識されねばならない」(大林浩・ラトガース大学教授)

3.今日お読みした聖書の箇所はヨハネ黙示録です。

 キリスト教を迫害したローマ帝国の支配者たちの滅亡が幻として描かれています。

 現実は過酷な「絶望」を引き起こす事態だったと思います。

 しかし、迫害の苦難の中で、新しい天地(天上界)の秩序から現世を相対化して生き抜いたのです。

 ユダヤ教が苦難の中で残した遺産だった「黙示文学(ダニエル書など)」という方法で、信仰の成就を語ったのが初代教会の信仰です。

4.ここで用いられている「新しい」という言葉に注目したいと思います。

 ギリシャ語には「新しい」という言葉が二つあります。

「ネオス “Neos”」と「カイノス “Kainos”」。

 用法がそんなに厳密に区別されているわけではありません。

 強いてその違いを捉えれば、”ネオス”は時の流れの新しさ。時が経つと古くなります。新しい着物といった意味です。

 ”カイノス”は”ネオス”とは共存しない別の新しさ。

見よ、わたしは新しい天と地を創造する。(イザヤ書 65:17、新共同訳)

 のごとく、神による創造の新しさです。出会いの新鮮さです。

5.「聖徒の交わり……を信ず」というのは古い使徒信条の中にある表現です。

 生者が死者を記念すると同時に、死者が生者を支えているのです。

 ”ネオス”ではなく”カイノス”の出会いです。

6.今日、永眠者名簿に記されている方々。

 近年、神の御許に召された、上条実さん、栗崎好一さん、渡辺寛さん、小林アヤさん、のことを深く想い起こします。

 これらの方々は、過去の人ではなく、新しい(”カイノス”)交わりのうちにあります。

 私は阪神大震災で多くの親しい方々との死別を経験しました。

 木原栄二さんは家屋倒壊で階下にいた御連れ合いと長男・道夫くんを即死で失われました。

 助け出された幼き長女と次女と共に、失意の中にも仮家屋と仮印刷所の仕事場を応急に建て、天上の家族と地上の家族との会話をしながら生き続けました。

 後にその対話を『紙の碑』として出版されました。

 涙なしには読めない「聖徒の交わり」の記録です。

 そんな中で私の『地の基震い動く時』(旧版)を出版してくださいました。

 その後、彼も54歳の若さでガンで世を去りました。彼とは私も天上・地上の対話をしつつ「聖徒の交わり」に生きています。

ヨハネの黙示録 21:1-4、新共同訳 ”新しい天と新しい地”

わたしはまた、新しい天と新しい地を見た。最初の天と最初の地は去って行き、もはや海もなくなった。更にわたしは、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために着飾った花嫁のように用意を整えて、神のもとを離れ、天から下って来るのを見た。そのとき、わたしは玉座から語りかける大きな声を聞いた。「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。神は自ら人と共にいて、その神となり、彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである。」
meigaku_iwai_20151101

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