「望楼」 難死 小田実が遺したもの

2010.8.7 キリスト新聞

 7月30日、作家小田実の没後3年を迎えた。小田の多彩な活動と「難死」の思想を継承する人々が17日、YMCAアジア青少年センター(東京都千代田区)で「偲ぶ会」を開催。

 小田の「人生の同行者」玄順恵を含む6人のスピーカーの1人、北村毅(早大高等研究所助教)は1973年生まれ。その「小田実が遺したもの……第4世代が培うもの」との講演は新鮮だった。同氏の著書『死者たちの戦後誌』(御茶の水書房 2009)は小田の「私の思考の底にはいつも死があるような気がする」に触発された研究だという。

 小田は沖縄戦の死者に向かい合うのに、日本兵の玉砕地、南の島々の死者を訪ねて沖縄に入った。

 戦争死からの思考が今後小田とキリスト者の平和思考との接点になればと思った。小田は、大阪空襲、アウシュヴィッツ、沖縄などの経験や足でたどったおびただしい悲惨な戦争死から死を思考する。

 キリスト教はともすると「十字架の死」に歴史を収斂させて死を思考する。その思考が抽象化しないためにも小田の思考に接点を求めてゆくことが大事だと感じた。

「偲ぶ会」のよびかけ人の1人今村直さんはキリスト者政治連盟書記長。「平和を実現するキリスト者ネット」は主催団体の一つ。示唆深い繋がりだ。(健)