基地と教会(2009 望楼 ④)

2009.5.7 キリスト新聞

 聖書のテーマを追い続けた洋画家・田中忠雄さんの作品に「基地のキリスト」(1953年)がある。氏の現代的な制作理念を示していて貴重だ。

 米軍基地とキリスト(教会)は戦後日本の教会の火急な重要テーマであるが、基地足下の教会以外には忘れられがちである。しかし沖縄をはじめ基地所在地にある教会は呻吟している。それは基地犯罪とその危険性、爆音による住民被害、地方自治の侵害という以上に、戦争の加害者になる責任があり、イエスの「平和を作りだす」(マタイ5:9)御旨と離反するからだ。

 今、山口県岩国市では熾烈な基地闘争が過半数の市民を巻き込んで行われている。世界戦略遂行のための米軍再編による、神奈川県座間市からの艦載機移駐を拒否した前市長の井原勝介氏は、住民投票と市長選で二度も勝利しながら、中央政府権力の圧力に屈伏させられた。しかし「愛宕山に米軍住宅を作るな」の請願署名は現基地容認市長の得票数を超え市民の過半数5万747筆が集まっている。

 4月12日、愛宕山に2千人が集結し反基地を表明した。運動には日本基督教団岩国教会牧師の大川清さんが「住民投票の成果を活かす岩国市民の会」代表として関わっている。祈祝福。(健)

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