メモ:戦時における知識人・宗教者の役割(2003 合同祈祷会)

2003.2.11、信教の自由を日、神奈川教区 湘北地区 合同祈祷会、
於 翠ヶ丘教会、イラク戦争開戦(2003年3月20日)1ヶ月前

(川和教会牧師代務者 69歳)

1.自己紹介(赴任した教会で学んだ戦争と教会)

① 広島(原爆被爆の教会員のお墓、平和公園納骨堂)

② 呉(自衛隊 − 軍港の街、自衛隊の中での信仰)

③ 岩国(米軍基地とベトナム戦争 − 星条旗翻る基地、日米安保の重さ、基地で働く教会役員、厭戦・反戦兵士と教会) 

④ 神戸(港、沖縄、地震 − 沖縄航路の中突堤、タンク通りの沖縄集落、富国強兵の国策の中での粗末な住宅が地震で襲われた − 戦争の陰のある街)

2.「戦争」を巡っての人間の関わり

2−1.あの時(A:日清、B:日露、C:第一次大戦、D:太平洋戦争、E:朝鮮戦争、F:ベトナム戦争、G:湾岸戦争、H:パレスチナ、I:コソボ、J:アフガニスタン、K:イラク)

2−2.居場所(権力からの距離)

① 戦争遂行者
 日本の軍部、天皇の戦争責任を誰が免責したか(マッカーサー。ジョン・ダワー『敗北を抱いて』、『戦時性暴力をどう裁くか − 2000年 女性国際戦犯法定 − 国連マクドゥーガル報告』まついやより)
 アメリカの大統領に象徴される権力者。軍需産業・防衛産業・死の商人。

② 積極的協力
「聖戦」を賛美。戦意を煽る。
 加藤周一の指摘『戦争と知識人』p.48以下。キリスト教の場合。

③ 消極的協力
 幾らかの保留。懐疑。

④ 体制への組み込まれ
 無自覚(何故、無自覚か。マスメディアによるプロパガンダ。教育:「教育基本法の改悪」)。
 批判しない人間、自分でものを考えない人間の効用。体制への協力。圧倒的多数。

⑤ 消極的反対
 批判的意志は持つものの意思表示はしない。

⑥ 積極的反対
 反戦運動。横須賀基地へのデモ(市民の定例第四日曜が警察の規制の柔らかさを導き出してきた。宮崎徹牧師談)

⑦ 戦争被害者
 殺された側の人々です。虐殺された人々。アウシュビッツ、南京。原爆。報道されない虐殺。軍事性奴隷、いわゆる「慰安婦」。非戦闘員の被害者。原爆被爆者。少なくとも戦争で生活基盤、親しい人を失った経験の人。パレスチナ。アフガニスタン。イラク(子供)。ここから逆に問われることの大切さ。

2−3.誰は。誰が。

 例えば、私(D−③、E−④、F−⑤、G,I−⑥、H,J,K−⑥)

3−1.労働者(ファシズムの中で抑え込まれた階層)、大衆(ファシズムを支えてきた積極的支持層[加藤周一による]− 小工場主、町工場の親方、土建請負業者・役員、小商売店店主、大工棟梁、小地主、自作農上層、学校教員、特に小学校・青年学校教員、村役場の吏員、その他一般下級官吏、僧侶、神官など)、中間階層、知識人(都市サラリーマン、自由知識職業者)と戦争。

3−2.知識人とは(知ろうとすれば知ることの出来る人 − 加藤周一 )

「国民はなにも知らされていなかった」と言うことは出来ない。知ろうとしなかっただけだ。新聞の宣伝の紙面の紙背に注意力と多少の常識を持っていさえすれば、当然読み取ることは出来た。

「今、アメリカに欠けているのは真実を明らかにする知識階級」(ノ−ム・チョムスキーの言葉)。

 宗教者、教育者、科学者・研究者、芸術家、文学者、医療関係者、ジャーナリスト、等々。

3−4.学んできた人、身近に出会った人、気になる人、もっと調べてみたり、学んでみたいと思う人(順不同、反面教師を含めて)。

出会った学校の先生。戦争中の小学校の教師。松沢小学校、疎開先の田舎の小学校の先生、高校の教師、うちの牧師。
阿波根昌鴻、高倉徹、鈴木正久、内村鑑三、矢内原忠雄、倉橋惣三、河井道、矢嶋楫子、与謝野晶子、柏木義円、竹久夢二、小磯良平、中谷康子、ユン東柱、丸木位里・俊、岩崎ちひろ、
(高見順、永井荷風の比較 − 加藤周一著『戦争と知識人』)

4.住谷悦治と土岐まもる、の「生きること」へのエピソード。

コヘレトの言葉 7:15-17

この空しい人生の日々に
わたしはすべてを見極めた。
善人がその善のゆえに滅びることがあり
悪人がその悪のゆえに長らえることもある。
善人すぎるな、賢すぎるな
どうして滅びてよかろう。
悪事をすごすな、愚かすぎるな
どうして時も来ないのに死んでよかろう
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