オルガン建造の現場に居合わせて 岩井溢子

神戸教會々報 No.161 所収、2001.4.22

 2000年11月17日にオルガンの材料が搬入されて以来約4ヶ月、日曜日を除く毎日が、工房の方々の作業を見守り、オルガンが組み立てられていく一部始終を見せて戴いた日々であったと、ここに居合わせた幸いを感謝している。

 工房の方は総勢9人。辻宏、澤民介、神戸(かんべ)洋幸、藤吉正吾、宮崎多恵子、浅井誠、河内あゆみ、飯塚尚、原一広の皆さんである。

 辻オルガン工房が岐阜県白川町黒川にあり、そのオルガンが神戸教会に建造されたことに、不思議な神の導きを感じざるを得ない。

 時代は遡るが、戦後間も無く岩井の父が岐阜の坂祝村で開拓伝道を始め、そこからなお山奥の蘇原村にも教会が誕生した。辻氏は現在その蘇原教会の信徒なのだ。

 そして私たちは知る人ぞ知るその教会で出会ったのである。

 懐かしい白川口駅は40数年前と全く同じ姿のままで建っている。

 蘇原教会が生み出した「光の子保育園」の園長さんが、神戸(かんべ)さんのご夫人であることを最近知って驚いた。

 また、河内さんのご両親は私共の知人の元岩国東教会員でいらっしゃることも分かり、この近くに引っ越された同教会の方と、岡山から娘さんの仕事場を見に出てこられた河内さんのご両親とが、教会和室で久しぶりの再会を喜ぶなど、思いがけない出会いも与えられた。

 さて、工房の方の朝は8時出勤。10時頃にはモーニングを摂りに喫茶店へ。昼食は1時過ぎ。おやつは4時頃に私が母子室に用意をした。作業終了は7時過ぎになる。

 ホテル住まいの毎日を思い、おやつには何をしようかと気を遣ったものだ。時々差し入れをして下さる方があって有り難かった。

 また、鈴木道也さんは藤村洋さんと一晩をお宅に招いて、親しい交わりの機会を作って下さり、皆さんがとても喜ばれた。

 月曜から土曜まで礼拝堂は工房に早変わり。土曜日には日曜日のために毎回道具を片付けて、お掃除をするという、教会ならではの作業を何度繰り返されたことだろうか。

 笛が少しずつ入って、最初の音が響いた時の感激は忘れられない。

 おやつの時間には私も時々仲間に入れて戴いて、各地に入っている辻オルガンのこと、工房での生活、懐かしい白川町近辺のこと等々、時の経つのも忘れて話し込んだ。

 気持ちよく仕事ができたところ、大変だったところなど、いろいろお聞きしたが、神戸教会のオルガンが、末永く工房の方々にとって愛着尽きないものであってほしいとの願いを持ち、また一日も早い完成を祈りつつ、私は今日も黙々とおやつを運ぶのである。

(2001年3月3日記、完成まで残り11日)

(サイト記)

辻宏兄(中央)、左側、第1回 オルガン演奏会奏者ペーター・プラニアフスキー氏。
神戸教会オルガニスト 瀬尾千絵さん
第1回 オルガン演奏会(2001年4月22日) ペーター・プラニアフスキー氏。溢子さんとオルガニスト瀬尾千絵さん(画質が悪い写真で恐縮です)
牧師室での束の間