地震の後に(Ⅴ)(1995 週報・神戸・震災から33日)

1995.2.19、神戸教会週報、降誕節第8主日
(阪神淡路大震災から33日目の礼拝)
▶️ 説教「主を待ち望む」
▶️ 「たやすく書かれた詩」 尹東柱

(牧会36年、神戸教会牧師17年目、健作さん61歳)

「序詞」尹東柱(伊吹郷訳)

 死ぬ日まで空を仰ぎ
 一点の恥辱なきことを、
 葉あいにそよぐ風にも
 わたしは心痛んだ。
 星をうたう心で
 生きとし生けるものをいとおしまねば
 そしてわたしに与えられた道を
 歩みゆかねば。

 今宵も星が風に吹き晒される。


 韓国の有名な詩人・尹東柱(ユンドンジュ)の詩である。

 震災後を「生かされている」と選び取って生きる者の心を打つ。

 彼は1945年2月16日、27歳の若さで福岡刑務所で獄死した。

 ハングルで詩を書いたことが独立運動につながるとして、1943年7月14日、京都下鴨署に逮捕された。

 彼の詩百編あまりを友人たちが甕に隠して地下に保存したという。

 韓国の専門学校を出て立教大学に留学していた彼は、1942年10月1日、同志社大学文学部に専科生として入学した。

 50周忌のその日、同志社では表記の詩碑の除幕式が行われたと、当時同じキャンパスに学びながら面識すらなかったという、韓晢曦(ハンソッキ)氏から聞いた。

 尹東柱の詩は高校の教科書にも載っている。

 詩人の言葉が50年後の震災を重く受け止める者の心を捕らえてやまないのは何故だろうか。

「星をうたう心」の故であろうか。

 地震の凄さを破壊された建物や施設という過去のものだけ見るのではなく、「わたしに与えられた道を歩む」という自分ならではの歩み方へと転換するバネとしたい。

 困難を助け給えと祈りつつ、手をたずさえて。

(岩井健作記)


諸集会報告

2月12日(日)震災から26日

 主日礼拝。

 暖房の使える階下講堂での主日礼拝。

 説教「主を待ち望む」岩井健作。

 司会・船越和夫執事。
 奏楽・瀬尾千絵姉(ピアノ)
 受付・岡田長保執事、飛田溢子姉
 献金・本城智子執事、富川和彦執事、沖口菊子執事、千葉利夫執事
 礼拝出席69名。階下講堂がほぼ一杯に。


2月15日(水)震災から29日

 祈祷会。

 浅居神学生の奨励。聖書はロマ書12章9〜21節。

 釜ヶ崎での経験。被災後の神戸での経験。どちらも橋の向こうから見ている感じで、他者の気持ちにはなりきれないという痛み。それでもパウロは「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」という。人と人は、共有できる部分がきっとあるのではないか。もうすぐネパールキャンプに出かける。そのような体験を持ちたい、と。

 自宅に戻られた高田さかゑ姉も交え、5名の祈りの時。


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