子は鏡(1979 幼児のしつけ・神戸市私立幼稚園連盟)

神戸市私立幼稚園連盟 発行
「ようちえん」107号 所収、1979.10.1

(健作さん46歳、神戸教会2年目・牧会22年、いずみ幼稚園長2年目・園長歴20年)


 M子ちゃんのお母さんは、幼児のしつけについて、よく学び考えている方でした。

 しつけについての考え方をお聞きすると、まず、健康や安全について、自分で処していけるような基本的な生活習慣を身につけさせることを、幼稚園に入る前までに、かなりきちんとやっておられますし、幼稚園では家庭において出来ないようなしつけをするように望んでおられます。

 お友達と遊ぶうちに身につけていく社会生活の基本を身につけて欲しい、ということです。

 そして、M子ちゃんが、身の回りの自分のことが自分で出来るようになることから、さらに進んで、集団の人間関係に適応して、自分自身の判断や考えを持つようになることを、しつけの範囲として考えておられます。

 どちらかというと、しつけの方向を《子供の自立》ということに重点を置いています。

 そのお母さんが

 ”先生、私、反省しているんですよ”

 と、こんな話をしてくださいました。


 みんなと遊んでいたM子ちゃんが、

 お母さん生き写しの口調で

 お友達に「自分でしなきゃダメですよ!」

 と語気鋭く言っているのを聞いて、

 ”何か、自分に欠けたところをぐさっと突きつけられたみたいな感じだった”

 と言うのです。

 お母さんは

 ”自分が少々きついところがあるから、M子ちゃんにはやさしい子になって欲しい”

 と心では思っているのですが、

 《歴史はくりかえす》という感じです。

 ”しつけって、親の考えていることや理想よりも、親の態度の方が大切なのですね。《子は親の言うことをききはしないが、親のまねをする》ということの意味を知りました”

 と言っておられたのが印象に残っています。

 《子供をしつける 》ということは、

 親が自分の個人史をも含めて自分自身のことをよく振り返ってみる機会ではないでしょうか。