1979年度宣教方針(1979 神戸教會々報 ③A)

神戸教會々報 No.91 所収、1979.4.29

(健作さん45歳、神戸教会牧師就任から1年、復活節)

標語「キリストのために苦しむ恵みも与えられている」

ピリピ人への手紙 1:27-30 口語訳

 1978年度の教会一年の歩みを省み、私たちの欠けにもかかわらず、主の恵みが豊かに加えられたことを憶え、共に感謝したいと思います。

 今年度の宣教の基本について、五つの点を心に留めたいと思います。

1.礼拝について

 礼拝は教会の宣教の中心であります。これを己が信仰生活、また教会の証しの生命として、ひらすら守る兄弟姉妹を、神が導き養い給うたことは、大いなる希望であります。

 礼拝は、真実な罪のざんげ、「神の言葉」への聴従、信仰の告白、讃美と感謝、新たなる献身であります。これが家庭生活・職業生活・社会生活の重い現実の底にかかわってなされるに至るまでには生活と信仰とが、どこかで分離してしまうことが身に染まっている近代的キリスト教の質を超えるために、担わねばならない苦悩というものがたくさんあります。

 それに目をつぶらないで、教会標語の「み言葉」に活かされつつ、礼拝の焦点を見定めてまいりたいと存じます。

2.交わりについて

教会は「召された者の集い」です。神が招き集め給うことに応えて集うという、各人それぞれの神との関係を強め確かなものにするところに横の人間関係の意味をみるのが教会の交わりです。

 直接的人間中心的関係のもろさが顕わにされ、質が変えられ、訓練されていく交わりでありたいと思います。

 そのような「神の与える訓練」に耐え、主にある交わりを作り出していく過程が世に対する証しでありますから、各部の活動等がそういった証しとなり得るように祈っていきたいと思います。

3.共に育つ教会

 伝道は福音を知らない人に福音を伝えることでありますが、それは伝える対象の人と共に福音にあずかり、その人との交わりに生きることを抜きにして伝えられるものではありません。

 昨年度「ピリピ人への手紙」や「第一コリントへの手紙」を講壇で学びましたが、その中のグノーシス(知識)主義の人は自分の信仰理解を完結させてしまって、交わりの中で自分も相手と共に成長するという視点を失っていたことを見てきました。

 神を求め、イエスに従おうとしている様々な人が、それぞれ信仰の成長を促されるようなところに重きを置いて活動やプログラムを組んでいくことを目指したいと思います。

 教会という場で自分も育てられ、また人を育てる責任を各自が持つようになりたいと思います。

4.全体教会との繋がりの中で

 足もとを見ていると自分の教会だけのことで自足しがちですが、現代の歴史の中で色々な証しを担っている教会から問題意識や問いかけを与えられていきたいと思います。

 さしずめ、沖縄の教会、靖国問題、日韓の教会の関わり、部落問題などは宣教の根本をもう一度問い返される問題です。

5.地域への業としての幼稚園

これは大変な課題です。二つの幼稚園の業が宣教の基本にふさわしいものであるよう祈ってまいりたいと存じます。

 石井幼稚園の園舎改築を通して「人間のわざ」が残るのではなく、「神のみわざ」が残るような取り組みができるよう励まし合っていきたいと存じます。

牧師 岩井健作

(サイト補足)ピリピ人への手紙 1:27-30

口語訳 1955年

ただ、あなたがたはキリストの福音にふさわしく生活しなさい。そして、わたしが行ってあなたがたに会うにしても、離れているにしても、あなたがたが一つの霊によって堅く立ち、一つ心になって福音の信仰のために力を合わせて戦い、かつ、何事についても、敵対する者どもにろうばいさせられないでいる様子を、聞かせてほしい。このことは、彼らには滅びのしるし、あなたがたには救のしるしであって、それは神から来るのである。あなたがたはキリストのために、ただ彼を信じることだけではなく、彼のために苦しむことをも賜っている。あなたがたは、さきにわたしについて見、今またわたしについて聞いているのと同じ苦闘を、続けているのである。

新共同訳 1987年

 ひらすらキリストの福音にふさわしい生活を送りなさい。そうすれば、そちらに行ってあなたがたに会うにしても、離れているにしても、わたしは次のことを聞けるでしょう。あなたがたは一つの霊によってしっかり立ち、心を合わせて福音の信仰のために共に戦っており、どんなことがあっても、反対者たちに脅されてたじろぐことはないのだと。このことは、反対者たちに、彼ら自身の滅びとあなたがたの救いを示すものです。これは神によることです。つまり、あなたがたには、キリストを信じることだけでなく、キリストのために苦しむことも、恵みとして与えられているのです。あなたがたは、わたしの戦いをかつて見、今またそれについて聞いています。その同じ戦いをあなたがたは戦っているのです。

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