沖縄戦への想像力(2014 沖縄・もとすす)

2014年(発行日不明)「求め、すすめる通信」第19号所収

(日本基督教団教師、前明治学院教会牧師(-2014.3)、81歳)

 どんなに想像力を巡らしても「本土人」に沖縄戦を想像することは出来ない。「沖縄戦」は我々の想像を絶している。しかし、また、そこへの想像なくしては「沖縄」への関わりは持てない。

「本土上陸の捨て石」「55万人の米艦隊上陸」「凄惨な地上戦」「沖縄県民の犠牲者12万人以上」「日本軍による住民虐殺」「集団“自決”」など輪郭を描く言葉などでは到底追いつかない。

 私の脳裏に強く刻まれているのは、丸木位里・俊夫妻の絵画「沖縄戦」である。佐喜眞美術館を尋ね、館長・佐喜眞道夫氏から修学旅行生への「沖縄戦の図」の説明を一緒に聴いた時のことである。心鈍い「本土人」にも美術を通じて喚起されるイメージは大きかった。

 この度、岩波書店から「岩波ブックレットNo.904『アートで平和をつくる ー 沖縄・佐喜眞美術館の軌跡』佐喜眞道夫著 2014/7/9」が発刊された。

 今までもおよそのことはお聞きしていたが、佐喜眞さんの生い立ち、学生運動時代から鍼灸師への経歴。軍用地代を用いた、上野誠、ケーテ・コルヴィッツ、ジョルジュ・ルオーのコレクション。丸木夫妻との出会い。「沖縄戦の図」を沖縄に置く願い。平良修牧師の仲介。10年にわたる基地の土地返還の闘い。美術館建設の奇跡(当時、沖縄タイムスは「文化が基地を押し返した」という見出しで報道したという)。

 そして「もの想う空間」の完成。これまでの苦労、闘い、奇跡的出会いや出来事が、コンパクトに纏められている。巻末に付けられている「『沖縄戦の図』について ー 修学旅行生への説明」(2014年春)は、佐喜眞さんが、精魂を込めて、丸木夫妻の思いと、沖縄戦の壮絶さを語った言葉の収録である。

「沖縄の図」に描かれている一人一人は惨い死の姿をさらしつつも、画面の中から、今なお語り続ける。うめき、叫び、そして若い世代への反戦平和への責任と促しへの呼び掛けが、ひしひしと力をもって迫ってくる。

 この本には、記されていないが、佐喜眞美術館には「沖縄の図」を含めて「久米島の虐殺1・2」「亀甲墓」「自然壕(ガマ)」「喜屋武岬」「集団自決」「暁の実弾射撃」「ひめゆりの塔」の9作品が収蔵されている。

 夫妻は沖縄戦を体験者からの聞き取り、写真、膨大な資料を駆使して、時間を掛けて作品を制作したという。

 ビデオ『丸木位里、丸木俊。沖縄戦の図 ー 佐喜眞美術館へのいざない』(30分)はかなり前に作成されたものである。

「本土人」は沖縄からの「告発」を「ウチナンチュウとヤマトンチュウ」との長い関係史から受け、それを「罪責」の自覚として、幾度も受け取り直さねばならないが、「絵画」他、映像の作品なども想像力に訴える素材であろう。『標的の村』なども大事にしたい。

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