牧会祈祷(2014 東日本大震災から3年・最後の牧会祈祷)

2014.3.2、東日本大震災(3.11)から3年、明治学院教会礼拝

(明治学院教会主任牧師9年・退任直前、80歳)

天地の創り主なる神

 今朝も、このように兄弟姉妹と共に、この礼拝堂に集い、礼拝を捧げることを、喜びをもって感謝いたします。 

 一週間の諸々の出来事の波間にあって、心が動揺しかねなかった私たちに「静まって、わたしこそ神であることを知れ」とイザヤ書の言葉をもって招き、また「すべて重荷を負って苦労している者は、わたしのもとに来なさい。あなたがたを休ませてあげよう」との約束をもって、わたしたちをこの場所に導かれました。

 わたしたちは、その招きと約束を信じてここに集っています。どうかこの礼拝を通じて、私たちのありようを、あなたの前に整え、イエスの生涯に倣って、恵みの内に生かされている者の自覚をもって、生き続ける力と勇気を、お与えください。

 来し方の過ちを懺悔いたします。私たちは、一人一人が、抜き差しならない人間関係のなかに置かれています。助けられたり、支えられたり、さらには、聖書が「贖い」という言葉をもってしか示すことが出来ない、神の愛を奥底に秘めた、深い愛の関係によって、生かされています。愚かで心鈍いために、その愛の支えさえ気づかないままのことがあります。私たちの生存の底には、あなたの愛と赦しのあることを、そして主イエスがその生涯をもって、その真実を示されたことを、信じる者とさせてください。

 神様、3.11の大地震、原発事故災害から3年を迎えようとしています。その悲惨と痛ましい生命と生活の破壊、人間の分断はますます表面には現れない形で重く人々の上にのし掛かっています。

 特に原発事故に責任を取らない事件の当事者たち・政治・企業、そしてそれに許容し荷担する報道・学会・群衆、そして我々までも含めて、孤立した被災者の気持ちは如何ばかりかを察します。被災に苦しむ人達に生きる力と励ましを与えてください。

 聖書の信仰と人類の苦難の歴史とを内に秘めた、諸国民の信義に信頼をおく憲法の、立憲主義憲法の理想が、市民や民衆をないがしろにし軍事力をほしいままにしようとする政府によって危機に瀕しています。心無き権力者の倫理観の欠如が国を歪めています。日本が偏狭な国家主義や民族主義に逆戻りすることを憂い、闘っている人々に勇気の灯を与えて下さい。

「人の命は持ち物にはよらない」。この単純なイエスの言葉を生きて命を守る人々を励まして下さい。

神よ、明治学院の大学・高校に集う学生とその家庭、そして教育に携わるすべての教職員、この学院の発展を願う同窓生、すべての人々を祝福してください。

 礼拝に集えない高齢者の兄弟姉妹、病の床にある者、その家族をお守りください。本日の役員会の上に導きをお与えください。求道の志を持つ兄弟姉妹を祝福して下さい。

 一人一人の携えてきた祈りを、受け入れてください。それらの祈りと共に、この祈りを、イエスのみ名を通して祈ります。アーメン。

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