遥かなる沖縄への旅(2009 沖縄・憲法集会)

2009.2.19 執筆、掲載誌不明
(日本基督教団 神奈川教区 基地自衛隊問題小委員会の会報だろうか)

(日本基督教団教師、単立明治学院教会牧師、健作さん75歳)

 このたび「第12回 許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会 in 沖縄」に参加した。

 北海道から九州まで約百名、加えて地元・沖縄の活動者の集会であった。

 身近なところでは「キリスト者平和ネット」から事務局の渡辺さんが、私は「日本基督教団 神奈川教区 基地自衛隊問題小委員会」から、神奈川では私たちが支援している「バスストップから基地ストップの会」の藤谷操さん他の方々が加わった。

2月13日、第一日目は、那覇で公開講演会。

 新崎盛暉教授、高良鉄美教授、チョン・ウクシク氏(韓国平和ネットワーク代表)の講演。

 共に日本国憲法と沖縄・安保(地位協定)そして米軍再編(パッケージ論)の関係の総合的認識の必要性と現時点での闘いへの示唆が述べられた。

 数少ない活動報告には座間から藤谷さんが報告。私も藤谷さん手造りの色鮮やかな「だまっていたら100年先も基地の町」の垂れ幕(実際は座り込み時の膝掛け)を掲げて舞台に立たせて戴いた。

2月14日、第二日目は、スタディーツアー。

 貸し切りバスで、嘉手納・辺野古・高江を「沖縄県平和委員会」基地部の与儀喜一郎さんの詳細な資料と老練なガイドに基づいて廻った。辺野古へは私も何回も座り込みに出かけたが、高江は初めてだった。

「殺人基地ジャングル戦訓練センター・ヘリパッド建設及び着陸地帯移設」阻止。「防衛省が起こした通行妨害(座り込み)仮処分申し立て裁判」の闘いに立ち上がっている住民の方たちとの出会いには勇気づけられた。「やんばるの森にヘリパッドはいらないよ」の表示が印象的だった。

2月15日、第三日目は、沖縄県青年会館で運動の交流集会。

 特に沖縄の山口剛史(琉球大学教育学部准教授)さんから教科書問題、辺野古の遠山さんからジュゴンの自然保護論からの闘い、沖縄憲法普及協議会の加藤裕(弁護士)さんからは『21世紀版 わたしの憲法手帳』(2006年 第四版、沖縄県憲法普及協議会発行)の紹介を兼ね、沖縄から解読する憲法を教えられた。

 最後は主催者/世話人の高田健さん提起の参加者アピールを採択して終わった。

2月15日は日曜日なので、途中、集会を抜けて、会場隣の那覇中央教会の礼拝に出席。

 旧知の久保礼子牧師(90号参照)の「いやされるキリスト」(マタイ15:21-31)と題する、イエスもまたカナンの女の信仰によっていやされた、との説教を感銘をもって聴いた。

 その後計らずも金城重明名誉牧師から「岩井牧師の礼拝出席はめったにないので一言を」との促しをを受けたので

「本土の私は、沖縄の苦悩に対して罪責を覚え続けている。“教団戦責告白”を提案した時、山里勝一牧師からそのことを問われた。もう四十年余り前だ。いま沖縄のもっとも深い苦悩を負っている金城牧師から“言葉を”と言われて恐れおののく。“沖縄から米軍基地撤去を求め、教団『合同とらえなおし』をすすめる連絡会”の代表を私はしているが、それらをめぐる営みは、沖縄への私の言葉にならない“言葉”である」

 と申し上げた。心の中で、私の属する日本基督教団の中枢部が、沖縄には一言も触れることなく、平和について抽象的な言葉を何の痛みもなく語れることへの憂いが疼いていた。

 今、憲法9条を変えるな、戦争を止めよう、米軍基地はいらない、自衛隊の海外派兵阻止、などと様々な市民・住民運動がある。政府は2月17日、ヒラリー・クリントン米国務長官との間で「在沖米海兵隊のグアム移転に係わる協定」に沖縄国会議員たちの反対請願を押し切って、確認署名した。

 大統領がオバマに変わったとはいえ、米軍再編日米合意の実施は費用負担を含め確実に官僚レベルで進んでいる。憲法9条を軸にした運動の広範な、緩やかで、しなやかな、しかし強固な連帯の大切な時期である。

 このたびの集会への参加は、僕にはそのための遥かなる思索への旅であった。

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