1992.9.20、神戸教会 週報
聖霊降臨節第16主日
(神戸教会牧師15年目、牧会34年、健作さん59歳)
本日9月20日(日)の日本基督教団聖書日課は「家族」のテーマのもと、次の4箇所のテキストが選ばれている。
各自がそれらの箇所を読み、そこから与えられる黙想を大切にしたい。
・ペテロの第一の手紙 3章1〜9節
新約聖書時代の教会の家庭訓であって、夫と妻のあり方が示されている。
現今の倫理から考えれば、男性上位に過ぎることへの批判的視点を持たざるを得ない。
しかし、「あなたがたが(家族として)召されたのは祝福を受け継ぐため」(第一ペテロ 3:9)とある。
9月15日(火)のNHKのテレビドラマ「家族」(脚本・演出:岡崎栄/出演:児玉清、長山藍子)を観た。
死別を通して沁みる家族の絆の祝福の一回性を深く想わされた。
・ルカによる福音書 14章25〜27節
「家族」についてのイエスの逆説的教えである。
各人の心にその真実を秘めておくことができるよう祈っていきたい。
”「だれでも、父、母、妻、子、兄弟、姉妹、さらに自分の命までも捨てて、私のもとに来るのでなければ、わたしの弟子となることはできない。”(ルカ 14:26、口語訳)
その厳しさを忘れまい。
・詩篇 128篇1〜6節
”あなたの子供たちは食卓を囲んで、オリブの若木のようである。”(詩篇 128:3、口語訳)
戦争、民族抗争、環境破壊、南北格差、飢餓や貧困などに晒されている子供たちとその家族の情報には敏感でなければならない。
今週はPKO派遣の自衛隊車両は神戸港からも発つ。
「軍隊」を通して子供たちとの連帯はあるのだろうか、と問われている。
・創世記 45章1〜15節
今日のテキストの本命。
ヨセフ物語(創世記37章〜50章)のクライマックスの箇所である。
兄たちに捨てられたヨセフは、やがてエジプトの宰相となる。
そうとは知らずに、飢饉を凌ぐため食料を求めてきた兄たちは、ヨセフに再会する。
その経過は、兄たちの悔い改め、ヨセフのエジプト派遣は神の救いのわざ、兄弟たちの家路への充実などが、テーマとして語られる。
家族との別離と再会を「くびを抱いて泣き」(45:14)「声をあげて泣く」(45:2)ヨセフ。
”そしてヨセフは弟ベニヤミンにくびを抱いて泣き、ベニヤミンも彼のくびを抱いて泣いた。またヨセフはすべての兄弟たちに口づけし、彼らを抱いて泣いた。そして後、兄弟たちは彼と語った。”(創世記 45:14-15、口語訳)
ヨセフは兄弟たちに語ります。
”ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしはあなたがたの弟ヨセフです。あなたがたがエジプトに売った者です。しかしわたしをここに売ったのを嘆くことも、悔やむこともいりません。神は命を救うために、あなたがたよりさきにわたしをつかわされたのです。”(創世記 45:4-5、口語訳)
そこには「人はパンだけで生きる者ではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きる」(マタイ 4:4)という「家族」を支える根底が示される。
”イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きるものである』と書いてある」。”(マタイによる福音書 4:4、口語訳)
「血肉」が持つ家族の闇の部分に引きずり回されることから解放され、神の祝福の器としての家族へと、成長を遂げていく努力をしたい。
そのような家族の息づく教会でありたい。
(1992年9月20日 週報掲載 岩井健作)
1992年度 神戸教会 秋期伝道集会
日時:10月18日(日)
講師:宮田光雄(東北大学名誉教授)
礼拝説教「イエスと出会う」
午後講演「生命の水を求めて」(グリム童話を読む)



