1991年5月19日、神戸教会週報、聖霊降臨日(ペンテコステ)礼拝
(受洗2名、転入2名、聖餐式)
(神戸教会牧師14年、牧会33年、健作さん57歳)
”御霊みずから、言葉にあらわせない切なるうめきをもって、わたしたちのためにとりなして下さるからである。”(ローマ人への手紙 8:26、口語訳)
Ⅰ.
「身動きもできないほど致命的な形となった不正義」
「至る所でおこる暴力」
「崩壊する自然の秩序」
これらについての議題を準備したのは、1983年の世界教会協議会(WCC)バンクーバー総会であった。
「正義・平和・被造物の保全」は、1990年ソウルで開催された会議(JPIC)のテーマとなった。
従来、キリスト教は”救い”を人間中心に考えてきたが、全被造物が相互依存の共同体の一部として他のあらゆる被造物に関わっていることの認識なくしては”救い”は考えられない。
この真理を学ぶ事は、今とても大事である。
そして、1991年2月、このテーマを受け継いで、第7回世界教会協議会が「来たれ、聖霊よー被造世界全体の革新」のテーマで開かれ、湾岸戦争後の状況での教会の祈りが集められた。
この会の開会講演は、韓国の若手女性神学者、鄭ヒュンクン教授によりなされた。(「福音と世界」1991年5月号)
Ⅱ.
さて、前記会議の聖書研究のために、18カ所の聖書テキストが挙げられているが、聖霊の働きと被造物との関係で、次の3つの箇所を学ぶように指示されている。
創世記1:1-2:4a、ヨハネ3:1-8、ローマ8:1-27。
創世記1章2節では、「地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた」とあり、また詩篇146篇4節、ヨブ記33章4節のごとく、神の霊が生命を与え創造がなされたとある。
また、新約聖書は、イエス・キリストの贖(あがな)いの業を「新しい創造」と見ており、神の霊があらゆる再創造の担い手であることを強調している。
ヨハネは、水と霊(洗礼)による人の「新しい創造」を示している。
Ⅲ.
ローマ8章22節では、被造物のうめき、産みの苦しみ、ということが言われている。
神学者モルトマンは「私たちは神が造られた世界の中に生きているのだ」「この世界は、神がひそかに臨まれているサクラメント(聖礼典)の場として理解すべきだ」と言っている。
環境破壊の中で必死に生きる生物を見ると、その思いを強くさせられる。
私たちの、傲慢な現代生活につき「御霊みずから…うめきをもって…とりなして」という、神の働きを心に宿して、日々を顧みたい。
”御霊みずから、言葉にあらわせない切なるうめきをもって、わたしたちのためにとりなして下さるからである。”(ローマ人への手紙 8:26、口語訳)
(1991年5月19日 ペンテコステ礼拝、神戸教会週報 岩井健作)

