神戸教會々報 No.130 所収、1991.3.24
復活前第1主日、受難節第6主日
(神戸教会牧師 健作さん57歳)
御国がきますように。ルカ 11:2
父なる神様
本当の惨状は知られないままに「湾岸戦争」は終りました。
しかし、環境や都市の破壊のこと、そこに苦しむ民衆のこと、パレスチナ問題、そして足許の日本のあり方の現在を思うと、長く重い新たな戦後が始まりました。
私たち、主イエスの招きの許にある者たちが、どこに心の思いを集めつつ事柄を見、また考えるのかを、この受難週、もう一度静かに教えて下さい。
そこを通して、人の世の苦難を負われ、十字架へと向われた主イエスに従う者とならせて下さい。
「私に従ってきなさい」とのイエスの招きが促す、価値観の転換を生きる者とならせて下さい。
この春、私たちの教会は、大きな課題のスタートを切りました。
会堂改修と別館建築のための特別募金です。
主イエスは弟子たちに、五千人の群衆を「あなたがたの手で養いなさい」といわれ、手持ちの「五つのパンと魚二ひき」を祝福されて充ち足りたわざを行われました。
不安を超えて、主のわざと主にある交わりを信じ、この宣教の課題に取り組むことを得させて下さい。聖霊の導きを切に求めます。
委員長として大任を負う山下長治郎兄をはじめ、募金の実務を担う諸兄姉の奉仕を支えて下さい。
父なる神さま
春は動きの季節です。
教会の二つの小さな幼稚園の卒園児そして入園児を祝福して下さい。
長年幼な子と共に歩み幼児教育に尽くした飛田溢子 石井幼稚園園長が退任し、船越和夫兄が後を継ぎます。
また五年間、誠心誠意、伝道牧会にたずさわった菅根信彦副牧師夫妻が次の志のために教会を辞し、橘秀秀紀伝道師夫妻が就任します。
渡辺誉一神学生も母教会にもどります。
長き短かきはあっても、あなたが遣わされたこれらのかけがえのない働き人たちから与えられたものを深く思い起こし、その労への主のねぎらいを願いつつ、主の導きを感謝する者とならせて下さい。
また、教会の交わりのうちにある、往く人来る人、一人一人への顧みをお願いいたします。
神さま。
春は年度の活動の評価反省の時です。
数々の記録が総会資料にまとめられています。その行間には、奉仕者の息づかい、喜び、うめきがにじんでいます。
あなたの恵みにかかわるほんとうに大事なことがその振舞の背後を支えています。その支えの中で、来る年度も、信仰生活、教会生活、宣教活動に励む者とさせて下さい。
もうすぐ復活祭です。
メメント・モリ(汝、死を覚えよ)と昔の人がいったように、終りのある人生をしかと心に言い聞かせつつ、しかも日常を自由に生きぬき、また生かされることを、死に勝利するいのちにつながることなくしてはできません。
「わたしは道であり、真理であり、命(いのち)である。」(ヨハネ14:6)と言われた主イエスにつながり、そのいのちを得させて下さるようにお願いします。
父なる神さま
病める人たちを覚えます。もう長いことベッドにある者、肉体的には回復の難しい病いをかかえこんでいる者、そしてその家族、これらの兄弟姉妹に励ましを与えて下さい。
結婚の備えをしている若い人たち、子育ての責任を負う親たち、卒業・進学・就職と将来を夢みる者たち、これらの兄弟姉妹に祝福を与えて下さい。
社会の只中で、この世のありていな生き方に抗して、差別や抑圧や環境破壊に苦しむ者の側に立とうとしている者たちに、希望を垣間みることを許して下さい。
主に従う者すべてに、自由、おちつき、ユーモア、そして勇気を与えて下さるようにお願いします。これらの祈りを主イエスの名によってお願いします。
アーメン


