引用:日本基督教団 社会委員会 平和聖日メッセージ(1982 週報・平和聖日)

1982.8.1、平和聖日、聖霊降臨節第10主日、
神戸教会週報に掲載
説教:祈りと平和《エペソ 6:10-20》

平和聖日メッセージ

 昨年秋に欧州で高まった反核・軍縮の運動は、今年に入って日本や米国に波及し、6月にはニューヨークでの百万人集会に発展しました。

 この動きは一億人をこえる署名を集めて国連に提出されました。

(サイト記)1982年6月12日、ニューヨーク マンハッタン。国連軍縮会議に合わせて国連本部前からセントラルパークまでの5キロの道を「反核デモ」に集まった百万人が埋め尽くしたと次の「中國新聞 広島平和メディアセンター」の記事は伝えている。

 これらはまさに全世界の人々が核兵器による現代の危機に不安と憤りをおぼえ、強大国にきびしく核兵器廃絶と軍縮を迫ったものといえます。

 最初の被爆国日本に住むわたしたちは、広島と長崎の経験を現代世界の破壊に対する重大な警告として受け止め、世界に訴えていく責任があります。

 しかし、最近の政治の流れは「戦前」の復権にむけて「戦没者を追悼し平和を祈念する日」の制定、靖国神社公式参拝への既成事実化、教科書検定の強化などが強引に進められ、軍事大国への歩みがはずみをつけています。

 このような流れに抗して、自衛官合祀拒否訴訟や箕面忠魂碑違憲訴訟の勝訴、反核運動への取り組みなど、右傾化に歯止めをかけようとする努力も強められています。


 被爆者詩人 峠三吉氏は、核兵器の惨禍が二度とあってはならないと「いまでもおそくない あなたのほんとうの力をふるい起すのはおそくない……したたりやまぬ涙をあなたがもつなら」と訴えました。

 これは今日の世界で、平和が人間を守るために最も重要な課題であることを訴えたものといえます。


 イエスは、エルサレム破滅を前にし「もしおまえも、この日に、平和をもたらす道を知ってさえいたら……」と嘆かれましたが、わたしたちキリスト者は、このイエスの嘆きをみずからに受け止め「平和をつくり出す」ことをわたしたちの働きの根底に据えていかなければなりません。

 ”もしおまえも、この日に、平和をもたらす道を知ってさえいたら……”(ルカによる福音書 19:42a、口語訳)

 身近なところで、平和を願う草の根の小さな働きを始めることが大切です。


 平和聖日を迎えるにあたり、今「人間」をとりもどすため、一人ひとりがみずからの拠点で、小さな運動を起し、参加し、広げて下さるよう訴えます。

1982年 平和聖日

日本基督教団 社会委員会


1982年 週報

この日の説教:祈りと平和《エペソ 6:10-20》

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