ともしびをみる心(1980 石井幼稚園)

「石井幼稚園・石井伝道所だより」1980年12月 クリスマス号 所収

(神戸教会牧師3年目、47歳)

 神戸教会では毎年12月24日の晩、ローソクの光だけで、聖歌隊のうたをききながら礼拝をしています。クリスマス讃美礼拝といっています。イエスを心のうちに深く覚え、神を讃える静かなひとときをお母さま方や園に関係のある方々もご一緒して下されば喜びの限りです。明るい、強力な電気を消して小さなともしびを通して思い浮かべる心の内面のあり方は実は私たちの人生にとってとても大切なものであります。

『ともしび』という絵本があります(城戸典子文、鈴木靖将絵、日本基督教団出版局 1980)。

 これは、スウェーデンの女流作家ラーゲルレーブのお話をもとにした絵本です。

 乱暴者の若者ラニエロは十字軍に加わって戦争で大手柄をたてます。力自慢の彼は、戦勝の祝いの席で、一本のローソクにともしたともしびを、遠い故国フィレンツェの街まで消さずに運ぶ約束をしてしまいます。ところが、旅立ってみると、大風は吹くは、盗賊には逢うは、と難続きで、か細いともしびを消さずに運ぶことがどんなに心づかいの多いことかを経験します。そして、力を誇っていた彼は、旅路を重ねながら、人間のやさしさに目覚めていきます。

 この本を読みながら、キリストに出会うとは、こういうことなのだな、との思いにうたれました。聖書は「まことの光があって世に来た。……世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた」(ヨハネ 1:9-10)とあります。

 キリストの存在(光)を抱いているのに知らずにいることの多いことはないでしょうか。子育ての中にもきっと大切な「ともしび」があります。それを探したずねながら、今年のクリスマスを迎えようではありませんか。