高齢者入浴助成券制度、デイ銭湯の事業仕分けによる廃止撤回への意見・存続要望書(2010 震災銭湯・要望書)

2010.7.13 執筆

(後に鎌倉に震災銭湯を作る会に発展し代表、単立明治学院教会牧師、76歳)

高齢者入浴助成券制度、デイ銭湯の事業仕分けによる廃止撤回への意見・存続要望書

 標記につき「タウンニュ−ス」鎌倉版No246号(平成22年7月9日金曜日発行)の第一面「意見広告」で知りました。

 私は、神戸から阪神大震災の少しあと鎌倉に移動してきました。自宅の風呂が整う迄の間、鎌倉市のこの制度を利用して、銭湯で入浴をしていたものです。初めて経験し、大変よい制度だと肌で感じていました。

① 行政の補助が、高齢者の日常の不可欠な生活に行き届いていると感じました。

② 銭湯でのゆったりした入浴は心身の健康を支え、高齢者の生活に張りをもたせます。

③ そこでの人との交流は思わぬ出会いを与えられ、街・都市を活性化させる底力であり、日本の温泉・公共浴場の古い文化の一環である事に改めて気付きました。

④ 阪神淡路大震災のとき、多くの人が行政の仮設住宅法による郊外の仮設住宅に風呂設備があるにも拘らず、一人で(あるいは家族で)ガスを使って入浴する事をしないで、街で復興した銭湯に入りに行った事を思い出しました。ガス代がかかるのです。元住んでいた街の人と交流を望んで風呂に入りにゆくのです。銭湯の復興は、被災地の街の復興の先駆けでした。神戸の中央区でしたが、何軒もの銭湯の復興は本当に地の人に喜ばれました。特に、低所得の人々は、そこで憩いました。その事を知っていて、入浴料を最低限に押さえて営業を続ける風呂屋さんは、街の人から本当に喜ばれたのです。

⑤ このような視点から、行政は改めて公衆浴場が町の「いのち」に貢献している事を認識すべきです。

「いのち」とは人が、健康で生きる事です。同時に、人と人が、語り合い、交流をして生きがいを感じる事です。特に高齢者が生き生きとしている事は「街のいのち」です。

 これらを考えて、流行の「事業仕分け」で、この事業の「廃止」を思い付く「事業仕分け人」の、人間・社会・都市・高齢者を抱える文化への無理解を思います。

 以上の視点から、現制度の継続を強く要望し、「廃止」の撤回を望みます。

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