紅葉坂教会 (2008 教会と聖書 ㊱)

「教会と聖書」70号(2008年9月16日発行)所収

(明治学院教会牧師、健作さん75歳)

 紅葉坂教会の会堂の外観はシンプルでかえって絵にし難い。無機質な外壁を今年は蔦が覆って緑の教会になっていた。1973年の献堂である。『百年史』に当時の写真が載っていないかと思ってページを繰ったがなかった。

 代わりに北村慈郎氏の文章に出会った。「私が母教会である紅葉坂に伝道師として着任したのは、1974年でした」で始まり、教会に訪ねてきた一人の日雇い労働者の自殺の悲しい話が記されていた。彼は今、寿地区委員会の委員長をして、横浜の底辺に心を寄せている。貧しくされた者の視点からの「聖餐論」の萌芽を覚える。

 会衆派教会は宣教師D・C・グリーンにより神戸教会が日本に最初に設立された。横浜在住の会衆派の信徒7名が相会して横浜講義所(現教会)を開設したのが1893年。「教会は信徒の教会である」とは会衆派の理念。

「どなたでも」と「開かれた」聖餐式も信徒の研究・協議の結果の教会総会の結論に拠っている。各個教会の尊厳を無視する現教団総会議長の振る舞いは許されない。私は二度ほど講壇に立たせて戴いた。自由の雰囲気を覚えた。紅葉坂と北村慈郎牧師の壮図を祈る。

千葉教会(2009 教会と聖書37)

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