「戦争責任告白」の「身体性」をめぐって(2007 戦責告白・神奈川)

2007.11.17(土)『戦責告白』40周年を覚える神奈川教区集会

(明治学院教会牧師、74歳)

1.「戦争責任告白」は有益性と限界性を持つ。

1)有益性

「有益性」とは、言葉化することで伝達された影響の効果。「韓国・台湾・フィリピンなどのアジア諸教会からの評価、教団の教会としてのアイデンティティーの方向付け(後者には、その後の動向を巡りマイナス評価があり克服の課題となっている)」
(「第5章 日本基督教団の『戦争責任告白』とその後の問題」『日本基督教団 資料集 第4巻』1998年、p.326所載)

2)限界性

「限界性」とは、言葉化が理念として先行し現実・実態を解釈・観念化してしまう危険を常に伴う。

3)「身体性」とは何か

「意識は身体に対して常に半秒ほどの遅れを持つ。それが人間の現実認識の根本にある」
(養老孟司「言葉の身体性」『考える人』No22、p.127)

 言葉と体験の互換性で身体はつねに一歩先んずる、という「経験」を根底にすえて「戦責告白」を捉え直してみてはどうか。

2.「身体性」から見直す幾つかの視点

1)「戦責告白」の発端、1966年、あの時の「若手教職たちの一人」の思いとは何であったのか。

「この夏期教師講習会の席上、若手教職たちから、戦時下の教団の戦争責任を明らかにすべきであるとする意見や、沖縄キリスト教団との合同を推進すべきであるとの提案がなされた。

 これを教団総会に何らかの仕方で建議しようということになり、講習会の運営委員であった渡辺泉、岩井健作、山岡善郎、大塩清之助、内藤協、及び校長の鈴木正久にその準備がゆだねられた」(『資料集』前掲)。

 岩井は① 農村の経験 ② 原爆・基地で侵害される人たちの現実、という身体性があった。自戒を込めて。

2)映画『日本の青空』を見て。1945年「憲法研究会(憲法学者鈴木安蔵が中心)」の「憲法草案要綱」がGHQ草案に反映され今の「日本国憲法」の骨子となった背景。

「自由民権運動」「植木枝盛」「大正デモクラシー運動」「女性解放運動」という身体性がある。安蔵の妻・俊子の言葉「女に参政権を持たせたら、戦争はできない」。

 ベアテ・シロタの24条提案。理念の前に身体性がある。

 教団の宣教は基本的に憲法精神に沿ってきた。
 今回の議案6号の決議事項
 ① 憲法9条実現、
 ②『日の丸』『君が代』の強制反対、
 ③ 米軍軍事基地反対、沖縄の諸教会との連帯、
 ④ 在日大韓基督教会、日本ホーリネス教団との交わり
 (多民族共生、加害者責任の歴史認識)

3)曹洞宗の「韓国・朝鮮の遺族とともに ー 遺骨問題の解決へ 2006夏」運動の展開。

「思い起こし、心に刻みつけます(遺族の恨に耳をすます)」
「東アジアの理解と和解に向けての……宗教者のスタンス。亡くなられた方の命と人格の象徴である遺骨を、遺族と故郷に再び結び付ける(re-ligion)こと」
(『東アジア出身の犠牲者遺骨問題と仏教』2007/3/30 曹洞宗人権問題推進本部編)
 <この資料は関田寛雄氏提供>