2005.4.10 執筆、おそらく「教会と聖書」巻頭言用
(単立明治学院教会 主任牧師 71歳)
かつて日本基督教団には『聖書と教会』誌があった。
神学的概念としての「教会」を一方の軸にして、聖書学の成果をそれと折衝させることがその方法であったと思う。
聖書学徒たちはよく奮戦した。
しかし、保守的正統主義の牙城を揺るがすには至らなかった。
本誌の趣旨は、「教会」を思想史的・社会史的・歴史的文脈に据えて、その功罪を自らに引き寄せ、聖書学をも歴史学の枠を破った実践的探求として捉え、イエスの福音に出会って、野暮な生き方をする者たちの開かれた共同性を「教会なるもの」の焦点に合わせて呼び掛ける営みそのものにある。
問題は、関わる者がどれだけの内省と自覚と情熱を傾けるかであろう。
蔭の役者が多い。そこに大いなる希望がある。
(2005.4.10 岩井健作)
