歌声と共に・桝本うめ子の生涯 − 桝本華子、武義和

歌声と共に・桝本うめ子の生涯 − 桝本華子、武義和

(サイト記)このページは健作さんによるものではありません。追記です。本文中に何度も登場する次女・華子先生と独立学園の創作曲について補足したいと思いました。桝本うめ子先生の教師生活(書道100歳まで)は、次女華子先生(音楽88歳まで)が指導する学生の熱い歌声に(雪に閉ざされる冬も)包まれた生涯であったと思います。Youtubeの曲を付けましたので、どうぞお聴きください。


本文「桝本うめ子の生涯 − その周りの人々」を読む


うめ子次女・華子、1950年、「基督教独立学園」音楽教諭に着任。28歳。(うめ子59歳)

1992年、母うめ子、書の教師として100歳にて死去。

2010年、華子、88歳まで60年間を音楽の教師として生徒指導。

2012年2月17日、華子、90歳にて死去。


「光の中に」 桝本華子

雨がやんで 
空に七色虹が出た
みんなみんな出ておいで
大きな虹だ きれいだな きれいだな

虹のむこうになにがある
虹のむこうに夢がある
わたってゆこうか 夢追いかけて
渡ってゆこうよ 手をとりあって

夢をおって
夢のむこうに愛がある
まことの愛をおいかける
(まことの愛を)祈りつつ

愛のむこうは雲の峰
雲のむこうに歌がある
飛んでゆきたい 光の中へ
飛んでゆこうよ 光の中へ

天使の歌が高く 天使の歌が低く
また高く また低く また高く

挿入 (賛美歌530・3番)
 み空をあおげば うき世の雲は
 日に日に消えゆき 霧はた晴れる。
 行く手にかがやく とこ世のひかり
 みとめし我らは いざほめ歌わん。

飛んで行きたい 光の中へ
飛んで行こうよ 光の中へ 
光の中へ


 この詩は、2012年2月17日に90歳でなくなられた桝本華子先生(2010年まで60年間、独立学園高等学校で音楽教師)が、人生の最後に書かれた詩です。
 この詩にかける思いは深く強く、今月初旬には、毎晩のように私(作曲者:武義和)の所に電話があり、細かい修正や、歌にする場合の打ち合わせをくり返していました。
 途中に、愛する賛美歌530番(特にその3番)が挿入され、そこにも華子先生の祈りと願いが込められている気がします。
 私の作曲完成が亡くなる2日前の夜で、この歌をお聴かせすることができなかったことは悔やまれます。
作曲者:武義和 2012.2 (基督教独立学園教諭)


「光の中に」 基督教独立学園

詞:桝本華子
曲:武義和
合唱:基督教独立学園高等学校




 筆者は、1983年(36年前)、大学1年のとき、独立学園に行きました。卒業生から学園生徒の合唱の録音テープをお借りし、震えるほどの感銘を受けて、どこからあの曲の数々が生まれたのか、どうしても知りたかったのです。八木重吉や水野源三、キリスト者詩人の詩に学生だった武義和さんが作曲し、また音楽の教師となって、歴代の在校生で作品を完成させる営み、私が聴いた時の作品は、全てが凄まじい力を放って、当時の私の心に突き刺さり、何度も聴きました。
 武義和さんは1985年設立の埼玉「自由の森学園」創設に携わり、音楽指導をされます。「自由の森学園有志」によるあの国会前の「ケサラ」も武さんの編曲によるものです。

 鈴木弼美校長(当時83歳)、桝本うめ子先生(91歳)にもお会いました。大学1年の若造が突然訪問したのにも関わらず、鈴木弼美校長がお話の相手をしてくださいました。


 内村との出会いや言葉に感化された信仰に連なる人々に触れる度「内村とは何か」という大きな問いの前に立たされます。
 健作さんは高崎に移られるまで『内村鑑三全集』(岩波)を所蔵しておられました。内村と新島を比較されたこともおありかと想像します。

 内村と新島には直接の接点があります。
 内村は幼き日を高崎藩で過ごし、新島は安中藩、共に自力で単身アメリカに渡り、留学先は共に「アマースト大学」「シーリー教授・校長」(新島はアンドーバーニュートン神学校からアマースト大学に進学していました)。
 アマーストでの内村と新島の上州人の絆がいかなるものであったことでしょうか。
 やがて新島は「同志社」を創り、内村の祈りは「基督教独立学園」を創りました。学校の規模の大小を比較すれば軍配は明らかです。しかし、内村の言葉が今も生きて私たちの心を慰める力を放っているのは、興味深いことです。


新島から内村への手紙 『新島襄の手紙』岩波文庫 p201
(ペンシルベニアの病院で働いていた内村は、この時、ペンシルベニア大学の医学部とアマースト大学リベラルアーツとで進学先を迷っていたようである)

 きのう、あなたから2通の手紙を受け取りました。

 親愛なる兄弟、内村が福音宣教のために輝かしくも大胆に全身を捧げる決意をなさったことについて神に感謝します。

 私はあなたの新しい献身に心から賛同するものであり、大声で「アーメン」を唱えます。

 あなたの将来のコースについて通常ならぬ不安を感じていました。あなた宛に先便を書いていた時でさえ、あなたからの答えは私の期待を大きく外れたものになるのではないか、と考えていたのです。

 このような返事をいただき、大変喜んでいます。これがあなたの最終決断であると信じます。二度と変更してはいけません。アマーストに入れば新しい道があなたに開けることを確信しています。金銭は男らしさと献身が本物であれば付いてきます。マナ(天の糧)は何とか与えられます。

 確言しますが、今日この広い世界の中で、三位一体の神を除いて、私ほどあなたの新しい決意を喜んでいる者はありません。こうしてあなたと共に喜ぶ機会をもたらして下さったことに、心の底から感謝します。シーリー校長にすぐにも手紙を書きます。アマーストから返事が来るまで、ペンシルベニアに帰ろうとしてはいけません。できるだけ長く北部にとどまるようにしなさい。なぜならばペンシルベニアより高緯度の地におられるほうが、あなたのためによいからです。

 最後に、親愛なる兄弟よ、確信をもって主を待ち望みなさい。主はあなたの道を歩きやすく、しかも祝福に満ちたものとしてくださるでしょう。

 主にあって、ジョセフ・H・ニイシマ

 主があなたにこの最終決断へ向けて一歩一歩導きたもうことに対し、感謝をこめてこの手紙に封をします。