鎌倉に震災銭湯を 市民有志「つくる会」発足(2011)

2011年1月16日(火)東京新聞 しょうなん版より
東日本大震災の2ヶ月前

(日本基督教団教師、明治学院教会牧師、健作さん77歳)

 阪神大震災が起きて16年目の17日、鎌倉市に災害時に被災者の入浴施設となる"震災銭湯"の建設を目指そうと、市民有志が「鎌倉に震災銭湯をつくる会」を発足させた。賛同の署名を集め、市に実現を要請することにしている。(斎藤裕仁)

 代表は、同市在住で明治学院教会牧師の岩井健作さん(77)。16年前、神戸市で被災し、救援活動を通して食糧や救護とともに、被災住民が望んだのは、入浴と人との交流ができる銭湯(公衆浴場)だったことを実感したという。

 その後、移り住んだ鎌倉市では、5軒ある銭湯の建物が古く、大地震に遭うと営業が難しい現実を知った。震災に耐え、災害対策拠点にもなる震災銭湯の設置を望む声を受け、会を立ち上げた。

 全国的に例がないため、具体的な計画はないが、平常時は通常の銭湯、地域コミュニティ活動の施設に活用。震災時は被災者の入浴、救護施設に加え、市の救援対策本部とする案を検討している。

 設置場所は、銭湯が一軒しかない市中心部を候補に挙げるが、課題は費用負担。市に建物の建設を求め、管理と運営を銭湯組合に委託する方針だが、自治体の厳しい財政事情から、壁は厚い。

 署名集めは銭湯友の会と協力して進める。岩井さんは「署名を集める中で、市民の共鳴と機運を盛り上げていきたい」と話す。問い合わせは、震災を取材したルポライターで、事務局長の井上節子さん(71)方。


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