愛は多くの罪を覆う、神谷美恵子のこと(2003)

2003年5月15日(木)10:30-、配布レジュメ
川和教会エマオ会、於川和教会
通読のための手引き、ペトロの手紙1 4:7-11

(川和教会牧師代務者2年目、健作さん69歳)

選句:「愛は多くの罪を覆うからです。」(ペトロⅠ 4:8)

1−1.ペトロ第一の手紙は、異教徒からの一般的迫害の中でどのように処すべきか迷っている小アジアの人々に宛てられた、キリスト者としていかに生きるべきか教え、励まそうとした、ドミティアヌス皇帝治下(AD81-96)前期のローマ、あるいは小アジアで書かれた回状。

 終末の近さを述べ、苦難の意味を積極的に評価している。

1−2.第一部(ペトロⅠ 1:3-2:10)。選ばれた「神の民」としての信仰者。第二部(2:11-17)。この世での責任ある振る舞いについて。第三部(4:7-5:11)。結びの勧告。

1−3.今日の箇所4章17−11節。終末の近さの強調。個人では「よく祈れ」。共同体では「愛せよ」(箴言10:12は初代教会では親しまれた言葉。ヤコブ5:20)。

「憎しみはいさかいを引き起こす。愛はすべての罪を覆う」(箴言10:12)
「罪人を迷いの道から連れ戻す人は、その罪人の魂を死から救い出し、多くの罪を覆うことになると、知るべきです」(ヤコブ5:20)

 「もてなし」(ペトロⅠ 4:9)は兄弟愛の具体的実践。10-11節は、教会のメンバーに対して、カリスマ(賜物)を活かして奉仕するように勧めている(コリント第一 12章参照)。

2.神谷美恵子の生涯と言葉

2−1.神谷美恵子(1914-1979)精神科医。前田多門・房子の長女として岡山市に生まれる。学生時代に無教会の独立伝道者・金沢常雄氏のハンセン病療養所・多摩全生園聖書研究会ににオルガン奉仕者として出席した時に、ハンセン病患者の医師として働きたいとの召命感を持ち、コロンビア大学、東京女子医大、東大医学部・内村祐之(ゆうし)教授の下で精神科を研修、大阪大学医学部精神科に勤務。長島愛生園精神科勤務(1958-1972)。その間、神戸女学院大学、津田塾大学教授。『神谷美恵子著作集』(みすず書房)全10巻を残す。

2−2.「なぜ私ではなくてあなたが?あなたが代わってくださったのだ」(『らいの人に』の一節。『人間をみつめて』、みすず書房、p.132)

2−3.「真の愛は自らを語らない。…愛は黙々として働く。…従って新しい生きがいとしての愛を語る文章は意外に見出しにくい。しかし…愛の光はまぎれもなく輝いている。」(『生きがいについて』みすず書房、p.219-220)

(2003年5月15日、川和教会エマオ会にて)


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