パレスチナの子どもたち(1993 石井幼稚園)

「石井幼稚園・石井伝道所だより 第48号」1993年12月 クリスマス号 所収

(神戸教会牧師・いずみ幼稚園園長・石井幼稚園園長 60歳)

 この夏、私はパレスチナへ行きました。

 テレビニュースでPLOとイスラエル政府との間に暫定自治協定が結ばれたことが大々的に報道される少し前です。

 ご存知のようにイスラエル建国(1947年)以来、アラブ系のパレスチナ人は故郷を追われたり、土地を奪われたり、抑圧されたりしています。

 そんな中でも子どもたちがたくましく生き抜いている姿に接したのが、この度の旅の心の印象でした。


 エルサレムの旧市街で観光客相手に絵葉書を「ワンダラー、ワンダラー」と言って、しつこく売り歩くのも子どもたちです。

 私がスケッチをしていたら人なつこく寄ってきて色々学校の話をしてくれました。

 小学生はアラブ語、ヘブル語、英語が必修です。

 ユダヤ人の学校ではアラブ語はやりません。

 抑圧される者の方がたくましいのです。英語は結構通じます。日本の大学生よりは実用的です。


 ガザ地区というイスラエル軍によって直接占領されている所に検問所を経て入りました。

 キリスト教系の病院を訪ねました。

 イスラエル軍に抵抗して傷つけられた子どもたちが入院していました。

 パレスチナ解放組織の活動家がいるといってヘリコプターからのロケット砲で破壊された3階建ての集合住宅の廃墟を訪ねると子どもたちが笑顔で出てきました。

 本当にたくましく生きています。

 大きな子は小さな子の面倒をみて、生活のため親を助けて労働し、民族のため自分のために勉強するバイタリティーが漲っていました。

 病院の医師は、怒りを込めて、傷ついた子どものことを日本に知らせてくれと言っていました。

 神戸教会は前から献金を送っています。

 ナザレは静かな所です。

 パレスチナ人の教会の幼稚園児は活発でした。

 絵を送ったり、何か神戸教会の石井・いずみの子どもたちと交流できないかなと思いました。

 この季節、向こうの子もクリスマスを祝っていることでしょう。


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